Interview

NEXCO東日本東北支社 4車線化を4路線で展開

2025.06.30

様々な技術提案を取り入れて事業を進めていきたい

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>広瀬 剛氏

東日本高速道路 東北支社 建設事業部長

広瀬 剛

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 NEXCO東日本東北支社は、19路線1,396.1kmの管理延長を有している。橋梁は1,163橋、トンネルも132チューブを管理している。4車線化工事など新設分野の詳細、特徴的な形式や工法の採用や高耐久化を図るための工夫など広瀬建設事業部長にインタビューした。


スーパーブラスター工法 電極を用いたPCグラウト充填検知システム 確かな技術で社会基盤の発展に貢献する

4車線化4路線、追加IC・JCT3ヶ所、SIC5ヶ所の事業を展開

4車線化4路線、追加IC・JCT3ヶ所、SIC5ヶ所の事業を展開

高耐久で維持管理しやすい道路の建設を目指す

 −−管内の地勢の特徴と道路の整備方針および構造物の整備の考え方について教えてください

 広瀬剛建設事業部長 地勢の特徴ですが、秋田道については、北上西IC~横手IC間は、岩手県と秋田県に跨り奥羽山脈を横断する区間のため構造物比率が高く、トンネル約4割、橋梁約1割の約5割が構造物となっています。

 一方、横手北スマートIC~大曲IC間は、横手市内から大仙市内の平地部(横手盆地)を通過しており、約9割が盛土区間で1割が橋梁となっています。

 仙台北部道路の利府しらかし台IC~富谷JCT間については、利府町から富谷市を結び、仙台都市圏高速環状ネットワーク(ぐるっ都・仙台)の一部を成す区間となっています。低い山地部を通過するため約9割が土工区間、1割が橋梁となっています。

 常磐道については、太平洋沿岸と阿武隈高地の間の山沿いを南北に通過する路線です。広野IC~ならはスマートIC間は、山間部を跨る区間のため約5割が橋梁となっていますが、他の浪江〜南相馬、相馬〜新地、山元南〜山元については低い山地部なので、約9割が土工区間となっています。この辺りはトンネルや橋梁はあまりありません。

 磐越道の会津坂下IC~西会津IC間は、会津坂下町から西会津町を結び、一級河川の只見川および鳥屋山(とやさん)を横断する区間となっているため、トンネル約6割、橋梁約1割の約7割が構造物となっています。

 整備の考え方ですが、一昨年、道路特措法改正で高速道路を今後約90年有料で管理することになっています。利用者に安全快適便利な道路空間を100年提供するために、『高耐久で維持管理しやすい道路の建設』を意識し、事業を展開しています。

図1 東北支社管内事業中箇所(東日本高速道路東北支社提供、以下注釈なきは同)

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4車線化等事業は、秋田道 約42.8km、仙台北部道路 約5.8km、常磐道約19.0km、磐越道 約8.8kmを延長

地域の安全性・利便性向上に向けた道路ネットワークの強化

 −−進捗中の事業路線の目的と概要、現況を教えてください

 広瀬 4車線化等事業は、秋田道 約42.8km、仙台北部道路 約5.8km、常磐道約19.0km、磐越道 約8.8kmを、追加IC・JCTは、(仮称)栗原IC、富谷JCT(フル化)、いわき小名浜ICを、スマートICは、(仮称)八幡平スマートIC、(仮称)天童南スマートIC、(仮称)高畠スマートIC、(仮称)白石中央スマートIC、(仮称)小高スマートIC、(仮称)の事業を行っています。

 表1 路線別の延長 


 秋田自動車道については、北上西インターチェンジ(IC)から湯田IC間は現在設計中です。湯田ICから山内パーキングエリア(PA)間は、現在最も工事が進んでいる区間であり、すべての本体工事が契約済みとなっており、土工、トンネル、橋梁の工事を実施しています。山内PAから横手IC間は、土工工事および上部工工事を契約しており、現在は準備工事を行っている段階です。横手北スマートICから大曲IC間については、昨年3月に事業許可がなされ、今後必要な調査が実施される予定です。


 仙台北部道路においては、現在土工工事が実施されています。


 常磐自動車道では、広野ICからならはスマートIC間が設計中です。浪江ICから南相馬IC間については、すべての本体工事が契約済みであり、現在、土工および橋梁上部工の工事が進められています。相馬ICから新地IC間については、現在土工工事の契約締結が完了したところです。山元南スマートICから山元IC間は、昨年3月に事業許可がなされており、今後必要な調査が実施される予定です。


 磐越自動車道については、本体工事に先立ち、西会津トンネルにおける地すべり対策工事などの先行工事が実施されています。


 また、追加インターチェンジおよびジャンクションに関する整備も進んでいます。(仮称)栗原ICについては、宮城県からの受託事業として進められており、現在土工工事が施工中です。富谷JCTについては、こちらも昨年の3月に事業許可が下りており、今後必要な調査が行われる予定です。いわき小名浜ICについては、小名浜道路の一部区間を福島県から受託し、事業を実施しており、令和7年8月7日の開通を目指して、現在舗装および設備工事が進められています。


 写真1 東北道(仮称)栗原IC・土工工事、常磐道いわき小名浜IC・舗装工事


 スマートICについては、(仮称)八幡平スマートICが現在設計中であり、(仮称)白石中央スマートICは土工工事の契約締結が完了したところです。また、(仮称)天童南スマートICおよび(仮称)高畠スマートICでは、土工工事が実施されています。(仮称)小高スマートICについては、現在用地取得が進められている段階です。

 

 写真2 東北中央道・(仮称)天童南スマートIC土工工事、(仮称)高畠スマートIC・土工工事


 

表2 事業別の構造物比率

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現在は黒沢川橋と請戸川橋の上部工工事、山内トンネルの掘削が進められる

今年度はほか5橋の下部工工事とトンネル3チューブの掘削に着手予定

 −−今年度および来年度において、着工予定・施工中・完成予定となっている橋梁、高架構造物、トンネルの事業箇所について、進捗状況を含めて教えていただけますでしょうか

 広瀬 現在、上部工の工事に着手している橋梁は、秋田自動車道の黒沢川橋(橋長446.0m、PC5径間連続箱桁橋)および常磐自動車道の請戸川橋(橋長104.0m、鋼2径間連続2主鈑桁橋)の2橋です。

写真3 秋田自動車道・黒沢川橋


 現在、秋田自動車道の黒沢川橋において、下部工を施工中であり、上部工は張出架設の準備を進めている段階で、今年度は張出架設を行う予定です。また、常磐自動車道の請戸川橋では、送り出し架設が終わり、床版および壁高欄の工事を予定しています。


写真4 常磐自動車道・請戸川橋(R7.4.3・R2SJ撮影)


 加えて、下部工工事として、秋田自動車道の黒沢橋(橋長131m)、田代沢橋(橋長85.0m)、柳田橋(橋長27.3m)、および仙台北部道路の成田高架橋(橋長331.5m)、石積高架橋(橋長279.5m)への着手も予定しています。


 トンネル工事に関しては、現在、秋田自動車道の山内トンネル(延長2,483m)の掘削が進められており、令和6年5月末時点で約1,300mの掘削が完了しています。


写真5 秋田自動車道・山内トンネル


 今年度は、同じく秋田自動車道において、黒沢トンネル(延長520m)、土渕トンネル(延長801m)、横手トンネル(延長650m)の掘削に着手する予定です。


 設計未着手、設計中、設計済みの橋梁は合わせて、約50橋くらいです。


表3 設計未着手、設計中、設計済みの橋梁


表4 工事契約済みの橋梁

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