国土交通省北海道開発局札幌開発建設部 石狩・空知地域の発展を支えるインフラ整備を推進
管内802橋を適切に維持管理
豊平川流域で砂防事業を推進
3渓流で土石流・流木対策を実施
――河川改修事業や砂防事業の具体的な計画と進捗状況について教えてください
平山 砂防事業では、豊平川流域(札幌市)の土砂災害を軽減するため、「豊平川砂防基本計画の中期的な目標に基づく整備計画」(以下、中期計画)に基づき、現在、南の沢川、オカバルシ川、簾舞川の3渓流において事業を行っています。令和5年度からは、簾舞川の御料堰堤(既設)の施設改良工事を実施しています。

施設改良の内容としては、土石流対策として堤体本体の嵩上げと拡幅による補強といった既設砂防堰堤の改良のほか、流木対策として流木を捕捉するための鋼製スリットの新設を行っています。

簾舞川の御料堰堤(既設)の施設改良工事状況と概要図
豊平川は、上流の定山渓温泉を経由して一気に流れてくる急勾配の河川で、過去から土石流や洪水氾濫による土砂災害が多発してきました。特に、昭和56年8月の水害では豊平川上流からの大量の土砂流出に伴う甚大な被害が発生したことから、それ以降は直轄砂防事業として砂防堰堤、床固工、渓流保全工などの整備を実施しています。全体の整備対象土砂量は約700万立方メートルという膨大な量に及ぶことから、事業を効果的に進めるために中期計画を定め、平成24年から令和29年までの間に、整備対象土砂量の約8割程度を抑制するために必要な砂防施設の整備を実施しています。

平成26年にも最大約90万人に避難勧告が出た
豊平川の砂防基準点(藻岩上の橋地点)から上流の砂防施設の整備は、13渓流を対象としていますが、そのうち穴の川、野々沢川の2渓流につきましては、「道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律」に基づき、平成22年度に北海道へ事業を移譲したため、開発局では11渓流において砂防施設の整備を進めており、現在は、先ほど申し上げた南の沢川、オカバルシ川、簾舞川において、砂防施設の整備を実施しています。
これまでの整備により、現在、土砂整備率は約29%となっていますが、計画規模に対しては依然として低い状態にあり、土砂災害による多大な被害のおそれがあることから、引き続き砂防施設の整備が必要な状況です。

豊平川流域の砂防事業の概要と流域の概要

砂防事業効果
――渓流保全工とはどのようなものですか
平山 整備前の河川は川幅が狭く、大雨により多量の土砂が上流から流れてきたときに、河岸の侵食や崩壊により河道が閉塞し、土砂洪水氾濫といった土砂災害が発生することがありました。
そこで、土砂や流木を安全に流すための対策として、床固工、護岸工、水制工などを組み合わせ、流れの勢いを弱めるとともに、土砂の流出をコントロールし、河岸や河床の安定化を図り保全する砂防施設が渓流保全工です。
渓流保全工は、上流の砂防堰堤で土砂を止めたり、遊砂地で土砂を貯める機能と組み合わせて整備したりすることで、土砂や水の安全な流れを保ち、土砂洪水氾濫を防ぎます。
管内802橋を適切に維持管理
2巡目点検で122橋がⅢ判定
――現在の管内橋梁・トンネルの内訳について教えてください
平山 管内の橋梁数は、令和7年3月末時点で802橋です。橋種別では、鋼橋が368橋、PC橋が259橋、RC橋が142橋、混合橋が33橋となっています。
供用年次別では、1960年代から1990年代にかけて集中的に整備されており、1990年代が最も多く170橋、次いで2000年代が138橋、1960年代が136橋となっています。約300橋が50年以上経過している状況です。
橋梁の各種別状況
延長別では、100m未満が654橋と大部分を占めていますが、100m以上の橋梁も148橋あり、1,000m以上の橋梁も1橋管理しています。
路線別では、国道337号が最も多く149橋、次いで国道12号が104橋、国道233号が91橋となっています。
トンネルは27か所を管理しており、工法別ではNATMが10か所、在来工法が16か所、その他が1か所です。供用年次別では、1960年代から1980年代にかけて整備されたものが多く、約10か所が50年以上経過しています。延長別では、2,000m以上のトンネルが4か所あります。

トンネルの各種別状況
――点検を進めてみての管内各路線の劣化状況について教えてください
平山 橋梁については、鋼橋では主桁の腐食が見られます。主な要因として伸縮装置からの漏水、凍結防止対策として塩化ナトリウムを散布していることが考えられます。
PC橋については、地覆・高欄・縁石で剥離・鉄筋露出、舗装の異常が見られます。RC橋では主桁の浮き、漏水・遊離石灰などが見られます。主な要因は凍結融解、つまり昼間に溶けた水がまた夜に凍って膨張するためであり、北海道ならではの要因があります。
ただ、塩害については、海岸線の国道231号以外はそれほど酷い状況ではありません。
トンネルについては、一部浮きや剥離、豆板といった材料劣化が見られています。これについては、打継ぎ目地のところからの漏水が要因となっています。

トンネル部の損傷状況
水漏れについては、北海道の場合には面内排水工法で内側の排水を行っているため、凍結で膨れ上がるということはほとんどありません。漏水が多いところは既に面内排水工法で水が流れるようにしています。古いトンネルが多いので、全面的に断熱材を貼って、つらら対策も行っています。ポーラス部分の水を抜くのに、断熱のウレタンを内側に貼って、その間に水が流れるようにしています。5センチぐらいのウレタン付きのプレートを貼って、センタードレンに落とし込んでいます。北海道でも古いトンネルの多くではこのような工法で漏水防止を行っています。
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トンネル部の補修状況
平山 札幌開発建設部では、令和7年度においては耐震補強、落橋防止装置の設置は実施していませんが、全国の緊急輸送道路上の橋梁耐震補強は、令和6年度末現在で約88%の進捗となっています。
長寿命化修繕計画に基づき対策を推進
令和6年度は24橋で修繕工事を実施
――橋梁の長寿命化修繕計画にもとづいた対策の進捗状況について教えてください
平山 橋梁長寿命化修繕計画に基づいて実施しています。2巡目(令和元年~令和5年)点検でⅢ判定となったのは122橋です。そのうち令和6年度は24橋、約20%の修繕工事を実施しています。
――経年劣化や疲労などによる上部工補修・補強について教えてください
平山 国道36号の豊平橋で令和3~5年度にかけて上部工補修を行いました。これは、サンドイッチ床版上鋼板の破断および浮き、滞水が確認されたためです。

豊平橋
令和2年度の舗装切削調査の結果、床版内部へ橋面から水が浸透したことに伴う凍害により充填コンクリートが脆弱化し、輪荷重の繰り返し等により上鋼板下面に空隙が生じたと推定され、上鋼板のたわみ等の影響により引張力が作用し、亀裂や破断に至ったものと考えられます。

豊平橋のサンドイッチ床版損傷状況写真
そこで、あて板工法および空隙の充填を行いました。この橋は現場条件により床版を薄くする必要があるため、サンドイッチ床版を採用したという経緯があります。

サンドイッチ床版空隙充填状況 / 同当て板補修状況
床版防水の有無を把握 未施工は277橋
――床版防水の施工状況について教えてください
平山 管内橋梁802橋のうち、コンクリート床版を有するのが621橋です。そのうち床版防水施工済みが344橋で約55.4%、床版防水未施工が277橋で約44.6%となっています。
今後は、各種点検や巡回などで異常が見受けられた箇所があれば、優先的に対応していきますが、効率よく補修するために舗装補修やジョイント取り替えに併せて床版も補修していきたいと考えています。
――支承取り換えや、ジョイントの取り替えおよびノージョイント化について教えてください
平山 今年度は実施予定がありませんが、引き続き伸縮装置及び支承の部材健全度がⅢ判定の箇所において、主部材の部材健全度と合わせて評価し、取り替え箇所の選定を行い取り替えを実施していきたいと考えています。
――塩害、ASRなどによる劣化について教えてください
平山 近年では塩害やASRの発生による劣化はあまり発生していません。一般的ですが、塩害対策としてエポキシ樹脂塗装鉄筋の使用、ASR対策としてアルカリ骨材反応試験で骨材の品質を確認し使用しています。
鋼橋塗替えを計画的に実施
PCB含有塗膜は令和8年度までに処分完了予定
――鋼橋塗り替え予定および実績について教えてください
平山 令和6年度(2024年度)の実績は、工事件数6件、橋梁数6橋、塗替面積8,141㎡です。令和7年度(2025年度)は、工事件数4件、橋梁数4橋、塗替面積9,080㎡を予定しています。
溶射など新しい重防食の採用については、現在のところありません。
――PCBや鉛など有害物を含有する既存塗膜の処理について教えてください
平山 PCBについては、塗膜調査実施により有害物を含有することが判明した塗膜は、環境省の基準に基づき、資格を有する処分・運搬業者へ委託して処分を行っています。処分のリミットが令和8年度ということになっていますので、計画的に来年度で終わるように進めているところです。
処理方法としては、剥離剤や、ブラスト併用するなどして対応しています。
――耐候性鋼材を採用した橋梁の状況について教えてください
平山 管内で7橋を採用しています。国道12号の豊幌こ線橋(上り・下り)、幌向橋(下り)、国道233号の北秩父別こ線橋、国道337号の当別川橋(下り)、嶮淵川橋(上り・下り)です。
特に錆汁が発生していたり、補修が必要な橋梁は現時点ではありません。安定錆びの状態が保たれていると認識です。跨線橋や跨道橋に使っていますが、錆びが問題だという話は聞いたことがありません。北海道では、路面に、凍結防止剤を散布していますが橋への影響は少ないと考えています。
道路法面の防災対策を推進
国道231号で法面掘削やコンクリート吹付工を実施
――斜面、法面などの補強・補修について教えてください
平山 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」北海道ブロック版(令和3年4月)を踏まえ、取組みを実施しています。豪雨による土砂災害等の発生を防止するため、法面・盛土対策を推進しております。
例としてですが、国道231号の海沿いは崖地形になっているところが多く、斜面のオーバーハング解消のための掘削や浸食防止のためのコンクリート吹付工を実施しています。
令和7年6月27日には機動的な予算措置で防災・減災対策を推進するため、防災・減災対策等強化事業推進費が配分され、一般国道231号石狩市浜益区床丹、一般国道453号恵庭市盤尻で災害対策を実施しました。
引き続き、「5か年加速化対策」における取組みを進めるとともに、「第1次国土強靱化実施中期計画」(令和7年6月6日閣議決定)で定められた目標達成に向けて、点検や道路巡回の結果に基づき、必要な対策を推進し、豪雨による土砂災害等の発生を防止します。
――異常気象への対応はどのように考えていますか
平山 特別なことはできるわけではありませんが、やはり点検をしっかり行っていくことが重要と考えています。普段は崩れてくる可能性が少ないところでも雨によっては大きく崩れたりする可能性があります。
ただ、斜面というのは、大雨が降ったからすぐに異常が発生するとも限らないので、そこは変化を見逃さないためにしっかりと点検を行う必要があると考えています。
札幌開発建設部管内では、国道230号中山峠で過去に2年連続地滑りが発生して通行止めを行いました。管内で地滑りが発生しやすい箇所は存在しますので、どのような地質であるかを把握し、そのような箇所では水抜きを行いながら、変状を確認します。併せて道路パトロールによる変状の確認も行い、必要に応じて通行規制などを行いながらハード対策と併せて道路交通に影響が生じないように努めています。
現時点では、グラウンドアンカーなどで補強するような箇所はないと考えています。
ICT施工で効率化を推進
除雪作業の省力化技術も導入
――新技術や、コスト縮減策または独自の新技術・新材料などの活用について教えてください
平山 主なものとして大きく二つあります。
一つがICT施工です。昨年度、札幌開発建設部管内の工事でICT施工を実施しました。ダンプトラックや掘削・積込み機械の位置情報、稼働状況より、ボトルネックを見える化し、運搬経路や機械の能力を見直すことで、積込み作業の待ち時間を改善、日当り施工量を増加させることに取り組みました。



様々なICTへの取組み
効果として、日あたり施工量が約25%増加(420m3から590m3)し、トータルで8日の工期短縮や運搬に係る作業員が延べ80人削減できました。今後も取り入れて効率化を図っていきたいと考えています。

ダンプトラックや掘削・積込み機械の位置情報、稼働状況より、ボトルネックを見える化
もう一つは、除雪作業の省力化技術でi-Snowと呼んでいます。除雪機械は、従来であれば運転手とオペレーターの2人体制ですが、最近は除雪作業等の担い手不足が懸念されていることもあり、衛星を使ったり周辺探知技術を取り入れながら除雪機械操作自動化に取り組んでいます。この技術は、除雪機械の運転・操作を2人から1人に省力化できることに加えて、熟練の運転手やオペレーターに頼らなくても一定程度訓練することにより、機械に取り付けられたガイダンスシステム等によりサポートできる仕組みを目指していています。
令和6年より深川・留萌自動車道(自動車専用道路)で除雪装置自動制御付き除雪トラックの実働配備を開始(下図)しており、今後も検証を行いながら、自動操作できる除雪車の対象機種拡大検討及び実働配備拡大を図っていきたいと考えています。

例としてですが、ロータリー除雪車(下図)では、センサーで障害物を避けて投雪方向の調節を行うシュートを自動で操作することも可能になっています。将来的には、一般車がレベル4の自動運転になれば、おのずと除雪車もレベル4になる時代が来ると思います。

個別施設計画に基づき維持管理を推進
トンネル、法面も計画的に対策
――橋梁の架替や大規模修繕、トンネルの点検状況、補修補強計画の進捗状況について教えてください
平山 橋梁については、橋梁長寿命化修繕計画(令和7年3月北海道開発局)に基づき実施しています。
トンネルの点検や修繕については、道路トンネル個別施設計画(令和7年3月北海道開発局)に基づき実施しています。
法面については、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」北海道ブロック版(令和3年4月)を踏まえ、取組みを実施しています。引き続き、「5か年加速化対策」における取組みを進めるとともに、「第1次国土強靱化実施中期計画」(令和7年6月6日閣議決定)で定められた目標達成に向けて、点検や道路巡回の結果に基づき、必要な対策を実施していきます。
札幌開発建設部では、第9期北海道総合開発計画に基づき、高い食料供給力、魅力的な観光資源、豊富な再生可能エネルギーなどの北海道の価値を生み出す地域である「生産空間」の維持・発展につながるインフラ整備を推進するとともに、国民の命と財産を守るため、構造物の適切な維持管理、防災・減災、国土強靱化に取り組んでまいります。
――ありがとうございました






