Interview

2027年に設立100周年を迎える土木学会関西支部

2024.04.22

加賀山泰一支部長インタビュー

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土木学会
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>加賀山 泰一氏

公益社団法人土木学会
関西支部長

加賀山 泰一

概要動画Overview Video

 土木学会関西支部は2027年に100周年を迎える。同支部は土木学会の中でも最初に設立された歴史ある支部である。関西は来年に万博を控えているほか、大阪湾岸西伸部や淀川左岸線などのプロジェクトもあり、非常に元気がいい地域でもある。一方で、維持管理面では全国で共通する、基礎自治体の技術者不足という課題を抱えており、そうした課題に対応するため、ミニ講習会の充実を図り、基礎自治体の技術的な悩みに対応しようとしている。若手技術者の土木に対する魅力拡充といった話題も含め、加賀山泰一支部長に聞いた。(井手迫瑞樹)

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関西支部は一番歴史が古く、なおかつ先進的な地域

支部と建コン協支部、国土交通省と協力して関西を盛り上げる

学生のモチベーションアップと企業側の採用にも寄与

――土木学会関西支部について
 加賀山支部長 2027年に100周年を迎えますが、8つ支部がある中で、一番歴史が古く、なおかつ先進的な地域で、様々な課題に前向きに取り組んでいます。私自身も支部長という立場ですが、実際にはその下に副支部長が2人おりまして、意思決定を行う商議員が結構な人数おりますが、さらにその下に一番、実働的に動いてくれる方々として幹事がおりまして、実質的に行事の立案や実施をしていただいております。私自身も幹事を経験しましたが、産官学から様々な方々に参加していただいております。

 幹事の皆様には本当に様々な活動を献身的に取り組んでいただいており、また各々の立場を離れて議論していただいており、過去の前例にとらわれない取り組みができています。一方で昨今の働き方改革に配慮し、行事のスリム化をすることも関西支部の課題です。

 去年の取り組みになってしまいますが、年次学術講演会(以降、「年講」)は本部だけでなく、支部でも行われています。しかし全国大会がどうしても主流になってきて、支部単位の年講は縮小気味です。参加者の構成も企業系が減ってきて、ほぼ学生の発表が中心になっており、その活性化も問題になっていました。

 そこで、昨年から建設技術展と連携をして、同じ日に年講を行うことにしました。かつ年講の発表に、近畿地方整備局内で行っている技術発表会がありますが、そこで表彰された発表を年講でもしていただきました。また、建設コンサルタンツ協会の近畿支部と連携して、土木学会関西支部とポスター発表を同時開催しました。このようにすそ野を広げることで、学生にとっても社会人と一緒に発表できるということはとても刺激になりましたし、各団体の同様の行事を連携させることで幅を広げることができました。企業側としても学生たちが建設技術展の場に来てくれるので、採用活動の場を一つ設けることができているようです。


土木学会関西支部とポスター発表を同時開催

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より地域に即した維持管理講習会が必要

座談会や相談の場を設けて双方向に議論しあう

 ――支部長を1年間やってきて、成し遂げたことは
 加賀山 来年、大阪・関西万博があります。やはり元気な関西を発信するきっかけを作ることができればと考えてきました。インフラメンテナンス国民会議に市区村長会議というのがありまして、同会議と土木学会の本部が連携協定を昨年5月に結びました。連携協定の具体的内容は両団体の支部同士が意見交換して調整することになっています。関西支部では、昨年の11月に市区町村会議の近畿ブロックの幹事(兵庫県養父市長)の地域(但馬地区)である豊岡市で、関西支部の幹事以上の合同会議および同地区3市2町の首長さんとの意見交換会を開催しました。交換会では技術者の人材不足、新技術の導入の問題、維持管理における財源の問題などを、より具体的に聞き出すことができました。


豊岡市での意見交換会

建設中の新しい城崎大橋の視察も行った


 例えば、今まで土木学会でも自治体でメンテナンス用の講習会というのは開いていたのですが、ただそれがあまり沢山の参加者を得られていない状態でした。国交省からの要望で始まったのですが、地方の人々にはそういう講義も必要ではありますが、大学の先生がずらっと並んでいるような感じで、少し敷居が高くて、理想論はわかるが、一方で困っているのが現実の目の前に横たわる問題であり、それに対応する講習会がないなぁ、という声を聴きました。

 それに対応するため、ミニ講習会を開催することにしました。同会では基礎的な講義も行いますが、それ以外に座談会や相談の場を設けて、双方向の講習会になるように企画しました。今回は各自治体につき2つ程度悩んでいる課題を提出してもらい、それを双方向に議論しあうことを行います。これがうまくいけば、相談会を定期的に各地区で行うコーディネートを関西支部で行いますが、人を常時配置することは難しいので、地区ごとにシニアの技術者に登録してもらい、自治体のよき相談相手になってもらうなどを案に議論を始めています。

 ――ミニ講習会は面白い取り組みですね。今回は誰が行くのですか?
 加賀山 支部長の私と副支部長(大阪市の平野みゆき理事と大阪公立大学の内田敬教授)が行きます。この取り組みは両職が改選で辞めても、レールに乗るまで主体的にかかわっていこうと考えています。総務の主査幹事を担っている京都大学の大西正光教授にマネジメントの講義を、また地元の橋種の維持管理を考えるとコンクリートを面白おかしくしゃべってくれる人がいないといかんということで神戸大学の三木朋広准教授、点検技術については阪神高速技術で調査点検を実際に行っている野村真介専門役(但馬地区出身)に出てもらいます。

国や府県がサポートしきれない隙間を埋めていきたい

基礎自治体の技術的な悩みについてフレキシブルに対応

 ――関西支部は、南は紀伊半島の南端から北は福井県まで幅広いエリアを包含していますが、今後はこうした場所でも行っていこうとお考えですか
 加賀山 今回の試みがうまくいけば、そのように考えています。今回は但馬地区で対面行いますが、今後は現地とオンラインのハイブリッドで行い、参加しやすくする予定です。
兵庫県や京都府、大阪府の各中間自治体の方々と話をしたのですが、彼らは基礎自治体を支援する「まちづくりセンター」系の仕組みを作っています。そうしたセンターは府県職員のOBや出向者が主体となって運営されておられますので、我々は彼らがサポートしきれていない隙間を埋めていければと考えています。それは少し技術的なことで、コンサルタントに業務発注して聞くほどのことではないが、しかし聞きたいことにフレキシブルに対応するなどです。いうなれば日頃の技術的な悩みを手軽に相談できる「相談会」を設置したいと考えています。

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