Interview

国土交通省 四国地方整備局 豊口佳之局長インタビュー

2026.01.01

DXの先行導入による省力化や効率化、建設産業の魅力を広く伝える広報活動に力を注ぐ

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国土交通省
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>豊口 佳之氏

国土交通省
四国地方整備局
局長

豊口 佳之

概要動画Overview Video

 四国地方整備局は、道路は国道11路線・約1,300kmと四国横断自動車道約40km、河川は一級河川8水系約452kmを管理している。四国は豊かな自然に恵まれ、四国遍路の文化もあり、観光も盛んな地域である一方、南海トラフ地震の切迫性に加え、瀬戸内側の渇水リスクと太平洋側の豪雨リスクという対照的な気候条件を併せ持つ地域でもある。近年は気候変動の影響により短時間強雨の発生頻度が増加しているとされ、従来以上に防災・減災対策の重要性が高まっている。


 こうした状況の中で、地域の持続的発展を支えるインフラ整備、激甚化する災害への対応、さらにはDXの活用による維持管理の高度化など、四国が抱える課題は多岐にわたる。それらにどう向き合い、どのような方向性で施策を進めていくのか。豊口佳之局長に話を聞いた。(インタビューは令和7年8月に実施)

景観や安全に配慮した 安心で快適な生活環境の創造 検出率100% 昼夜調査可能な赤外線調査システム Jシステム Evolution

道路そのものが地域の命を守る防災インフラ、さらに生活と物流を支える四国8の字ネットワーク整備 

整備された場所とされなかった場所

治水施設が果たす役割と「整備の有無」が示した現実とは

 −−現在までのご経歴と土木の分野を目指したきっかけを教えてください。

 豊口佳之局長 大阪大学で土木工学を学んでおり、当時から建設分野に進もうと考えていました。大学2年生の時、ちょうど瀬戸大橋が開通したんですよ。まさにインフラの建設ラッシュというか、社会基盤が大きく動いていた時期でした。当時住んでいた大阪から橋ができたことで四国へ行くことが容易になり、車の免許を取ったばかりだったこともあって、「どこかに行こうか」と四国に渡ったんです。豊かな自然が残る四国中を車で走り回りながら、国家プロジェクトの壮大さと、インフラ整備の重要性を改めて認識しました。その経験が大きな契機となり、当時の建設省に入省しました。

 −−今までのご経験で印象に残る現場などはありますか?

 豊口 関東にある八ツ場ダムと、九州・熊本県に計画されていた川辺川ダム。この二つの事業を中止するという方針が、当時の政権の公約の最初に掲げられていました。私はちょうどその時期、この場所の所長を務めていたこともあり、非常に鮮明に記憶に残っています。私が着任したのは平成20年(2008年)4月でしたが、その年の秋頃には熊本県知事から「川辺川ダム計画を白紙に戻してほしい」と求められました。その後、「ではどういう治水の着地点を目指すのか」という協議を続けている最中に民主党政権へと移り、国としても川辺川ダムを中止する方針が示されました。まさに激動の時代であり、強く印象に残っています。その後、全国のダム事業はダム検証が進められ、実施するもの・中止するものが整理されました。八ツ場ダムも最終的に事業が継続され、令和元年(2019年)の東日本台風の際には、完成していた八ツ場ダムが利根川の氾濫危険水位の超過を防ぎ、大きな被害を免れる結果につながりました。対照的に、その翌年の令和2年(2020年)には熊本県を豪雨が襲い、球磨川流域では大規模な氾濫が発生しました。川辺川ダムの計画地を含む流域です。整備された施設は機能し、整備されなかった場所は機能しない。当然のことではありますが、その違いが大きな災害の形で示されました。現在では川辺川流域でも新たなダム整備の計画が進んでいます。当時、事業の大きな転換点に立ち会ったこと、そしてその後の災害で「整備された場所とされなかった場所の差」を目の当たりにしたことは、今でも非常に印象深く残っています。

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約1,340kmの国道等と8水系約452kmの河川を管理

交通・物流ネットワークを強化し、地域全体としての力を引き出すことが重要

 −-2025年度の道路・河川・港湾の管理状況と地域特性や整備局管内の置かれた状況、それらを踏まえた事業計画について予算規模を教えてください。

 豊口 現在、四国地方整備局では国道11路線・約1,300kmと四国横断自動車道約40km、河川は一級河川8水系・約452kmを管理しています。港湾は、重要港湾7港、地方港湾(避難港)1港、開発保全航路4航路で事業を実施しています。

 今年度の予算は直轄事業費が1,476億円(前年度比1.05)、補助事業費が1,909億円(前年度比1.01)、合わせて3,385億円(前年度比1.03)です。(右図 令和7年度の予算概要 (以降、全ての写真・図は四国地方整備局提供))

 四国の地域特性をお話しするにあたり、まず申し上げたいのは、人口動態や産業構造、さらには自然条件まで、複数の面で全国とは異なる特徴が重なっている地域であるという点です。全国の人口が2010年頃を境に減少へ転じたのに対し、四国ではそれより早い時期から人口減少が進んでおり、現在の人口シェアは全国の約2.9%、将来的には2.5%程度まで縮小すると見込まれています。高齢化も全国平均以上のペースで進んでおり、地域を支える人材の確保が引き続き課題となっています。


    また、四国は「見た目より担う領域が広い」点も大きな特徴です。国土面積は全国の約5%、海岸線延長は全国のおよそ1割を占めます。河川延長や土砂災害警戒区域の割合も人口比を上回り、限られた人口で広範な国土管理を担う必要があるという構図になっています。



 産業構成をみると、四国全体では一次・二次・三次産業の比率が全国と大きく乖離しているわけではありませんが、県ごとに特色が見られます。例えば、徳島や愛媛では製造業が比較的強く、一方で香川や高知では観光やサービス業など第三次産業の比率が高い傾向にあります。瀬戸内国際芸術祭、阿波おどり、よさこい祭り、道後温泉、今治タオル、なると金時といった地域資源も各地に広く存在し、地域としての潜在力は高いと感じています。




 企業規模に目を向けると、中小企業が非常に大きな割合を占めています。全国に占める四国の割合において、事業所数の割合に比べて従業員数の割合が低いことからも、一つ一つの事業所が比較的コンパクトであることがうかがえます。こうした状況を踏まえると、四国内の交通・物流ネットワークを強化し、地域全体としての力を引き出すことが重要だと考えています。


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激甚化する災害に備えた四国のインフラ強靱化が進展

生活と物流を支える四国8の字ネットワーク整備

 −−今年度の主要事業についてはいかがでしょうか。

豊口 今年度は、四国の防災力と地域の持続的な発展に直結する道路・河川・港湾の重点事業を、引き続き集中的に推進しています。
 まず河川分野では、流域全体で水害を抑える「流域治水」を加速しており、その象徴的な取り組みとして、肱川流域で進む山鳥坂ダムの本体工事に向けた準備が大きく前進しました。ダム建設の予定地を流れる河辺川の流れを切り替える転流が開始され、今後の本体工事に向けた大きな節目を迎えました。


 道路分野では、四国全体の防災・物流等を支える「四国8の字ネットワーク」の整備を重点的に進めています。現在約76%が開通しており、未整備区間の事業化・整備を急ぐ段階に入りました。特に太平洋側は南海トラフ地震のリスクが高く、道路そのものが地域の命を守る防災インフラとなるため、ネットワーク化が極めて重要です。



 中でも徳島・高知の沿岸部をつなぐ阿南安芸自動車道は、災害時の孤立を防ぐうえで欠かせない路線で、今年度も調査中区間の調査や設計、事業化に向けた検討を進めています。沿岸地域は津波リスクが高く、代替ルートも少ないことから、早期の整備が強く求められています。


          


 港湾分野では、南海トラフ地震を想定した「三重防護」の考え方にもとづき、高知港海岸において、第一線防波堤(港湾施設)、湾口地区の津波防波堤や外縁部堤防等、浦戸湾地区の内部護岸等の3段階で津波エネルギーを減衰させ、背後地域の安全安心を守る対策を強化しています。また、四国管内の重要港湾において、貨物需要の増加に伴うフェリーの大型化への対応や地域経済を支える海上輸送機能の強化を図るため、岸壁や防波堤等の港湾整備も進めています。


 四国では道路・河川・港湾すべての事業が「防災」と密接に結びついています。今年度もそれぞれの分野で着実な前進を図り、南海トラフ地震や激甚化する気象災害に備えるとともに、地域経済を支えるインフラとしての役割を強化していきたいと考えています。

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