Interview

国土交通省 四国地方整備局 豊口佳之局長インタビュー

2026.01.01

DXの先行導入による省力化や効率化、建設産業の魅力を広く伝える広報活動に力を注ぐ

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国土交通省
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私たちがもとめるもの それは豊かな未来を支える確かな技術です。 キレイに、未来へ 誰よりも好奇心 仕事に、働き方に、好奇心を刺激する仕掛けを

災害に備えたインフラ対策 自動化・無動力化を取り入れ、省人化と確実性を両立

渇水と豪雨の両方のリスクを抱えた地域

総合的な治水対策を推進

 −–近年、水害による河川氾濫や土砂崩壊のリスクも無視できません。こうした状況に対し、道路や河川の損壊を防ぐため、どのような予防保全的対策を行っていくべきとお考えでしょうか。ハードウェア対策ソフトウェア対策なども含めて教えてください。

 豊口 気候や自然条件についても、四国には独特の課題があります。瀬戸内側は少雨でため池が多く、太平洋側は雨量が非常に多いという、渇水と豪雨の両方のリスクを抱えた地域です。近年は気候変動の影響により、短時間強雨の発生頻度が増加していると見られ、従来以上に防災対策の必要性が高まっています。




 こうした状況のなかで、四国では総合的な治水対策を進めています。流域治水の考え方を基本にしつつ、河川整備やダムの建設・再生といった施策も適切に組み合わせ、流域全体の安全度を高める取り組みを推進しています。肱川流域の野村ダムの再生や山鳥坂ダムの新規整備、水資源機構が行う早明浦ダムの改造などは、その一例です。渇水と豪雨という相反する課題を抱える四国では、洪水調整と利水双方の「水を貯める機能」を確保することが極めて有効であり、今後も必要な施策を着実に進めていく方針です。



 また、降雨量の変化に対応するため、河川整備基本方針の見直しも進めています。流量の増加に対して必要となる対策規模は単純な比例ではなく大きく膨らむことがあり、実情に即した安全度の確保が求められます。




 交通基盤の面でも課題があります。沿岸部の道路は津波、山間部の道路は土砂災害による途絶のリスクがあり、より安全性の高い高規格道路網の整備が期待されています。いわゆる「四国8の字ネットワーク」は、平常時の産業・観光の支えとなるだけでなく、災害時の救援物資輸送路としても重要な役割を果たすことが想定されています。


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地震災害に備えたインフラ対策

高規格道路・高知港海岸の三重防護など総合的に推進

 −−熊本地震や、能登半島地震の記憶も新しいところですが、こうした地震災害の備えとして、どのような対策をされていますか?

 豊口 四国は南海トラフ地震の発生が想定される地域であり、河川・道路・港湾などインフラの強靱化が極めて重要です。河川では、堤防の耐震化や液状化対策に加え、水門・樋門の自動閉鎖化や遠隔操作化など、地震時にも施設が機能するための整備を進めています。災害発生時の緊急的な対応として、無動力化や自律的な作動も含めた対策も段階的に進めているところです。



 道路については、津波・土砂災害による途絶のリスクを踏まえ、「四国8の字ネットワーク」に代表される高規格道路の整備を推進しています。沿岸部での津波影響を避けるため、橋梁やトンネル、盛土構造などを活用し、より高い位置を通る安全性の高いルートを確保することを目指しています。加えて、これらの道路には沿道住民が緊急時に避難できるよう、避難階段や避難路を設けるなど、避難利用を想定した附帯施設の整備も行なっています。いわゆる「津波避難タワー」とは役割が異なりますが、平面では得られない広い避難空間を提供できる点で、一次避難場所としての機能を期待しています。





 港湾では、先ほど事業のご説明の際にも触れましたが、特に高知港海岸において「三重防護」の考え方を取り入れています。沖合でエネルギーを減衰させる第一線防波堤(港湾施設)、湾口地区の津波防波堤や外縁部堤防等、浦戸湾地区の内部護岸等を組み合わせることで、過度に高い護岸構造物に依存するのではなく、港湾機能を維持しながら津波に備えるものです。



 また地震への備えは、施設整備だけでは不十分であり、ソフト対策も不可欠です。四国地方整備局では、「四国南海トラフ地震対策戦略会議」を設置し、国の関係機関、四国4県、警察、経済団体、インフラ企業(道路会社、水資源機構、JR、NTT、電力・ガス事業者等)とともに、広域的な防災体制のあり方を検討しています。能登半島地震で明らかになった孤立化の問題を踏まえ、道路啓開に加えて、航路・空路を含めた陸海空の総合的な支援ルート確保や、各インフラ事業者の復旧作業が連携して進む仕組みづくりなど、総合的な戦略の見直しを進めています。



 避難についても、従来の一次避難場所に加え、1.5次避難、二次避難、さらに長期滞在となることも見据えた多段階の避難体制が必要と考えています。公民館等に一時的に避難した後、より安全かつ生活環境の整った場所へ移行する仕組みを整えることが、災害で長期にわたり生活が不安定になることを防ぐために重要です。また、自治体による高台移転など「事前復興」の取り組みも進んでおり、まちづくりと連携した防災対策が求められています。




 さらに、津波浸水後の排水計画も重要な柱です。排水ポンプ車の導入や広域的な排水体制の検討を行い、浸水が長期化しないよう対策を進めています。道路啓開についても、橋梁や道路そのものの復旧には時間を要する一方、倒木や電柱の転倒、土砂の散乱などを速やかに取り除き、緊急車両が通行できる環境を確保することが必要であり、そのための計画策定を進めています。



 このように、四国地方整備局では、関係機関との連携のもとで、ハード・ソフトの両面から南海トラフ地震への備えを強化しています。住民の安全を守り、災害後の早期復旧・復興につなげるため、今後も「事前防災」の考えのもと総合的な対策を着実に進めていく方針です。


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老朽化インフラの更新と新技術の活用

自動化・無動力化を取り入れ、省人化と確実性を両立

 −−基礎自治体の財政力の低下とインフラの老朽化が進んでいます。今後の傾向や基礎自治体のインフラマネジメントの保全支援について、整備局として行っている効果的施策や新しい取り組みなどがあれば教えてください。


 豊口 インフラの老朽化は、全国的な課題であり、四国でも道路・河川など様々な施設が更新期を迎えています。四国は、近畿などと比べると歴史的に非常に古い施設が多いわけではありませんが、高度経済成長期に集中的に整備された構造物が多いため、今後は急速に老朽化が進むことが見込まれます。例えば橋梁では、建設後50年以上を経過する橋の割合が現在の約42%から、10年後には60%、20年後には74%に達する見通しで、全国と同様に厳しい状況と認識しています。



 こうした老朽化への対応にあたって最大の課題は、やはり人手不足です。特に基礎自治体では、点検・維持管理に十分な人員を確保することが難しくなっています。そのため、四国地方整備局では、更新の際に単純な置き換えにとどめず、遠隔操作化・自動化・無動力化といった機能向上を組み込み、省力化・確実性向上を図る取り組みを進めています。先ほど地震災害への備えとして紹介させていただいた水位に応じて自動で開閉するゲートなどが例ですが、動力を使わずに稼働できる仕組みへの更新を行い、維持管理の負担軽減や災害時の確実な作動につなげています。



 また、インフラマネジメントを進めるうえでは、自治体への技術支援や点検支援の強化も重要です。限られた人員で効率的に維持管理を進められるよう、研修や技術的助言、必要に応じた点検や修繕の代行など、自治体と連携した取り組みを進めています。さらに、更新時に省エネルギー化・カーボンニュートラル化も併せて図ることで、環境負荷の低減にも取り組んでいます。


 このように、人材不足を踏まえた省力化と確実性の確保、最新技術の活用、自治体支援を組み合わせることで、老朽化が進む中でも持続可能なインフラ管理を実現していくことを目指しています。


−−修繕代行などは現在行っているところはありますか?


 豊口 現在、四国地方整備局として修繕や点検の「代行」を実施している事例はありません。過去には、平成27年度に修繕代行を行い、平成28年度に完了したものがありますが、現時点では代行事業は実施していない状況です。ただし、自治体からのご要請があれば、必要に応じて対応できる体制は整えています。



 一方で、自治体は人員が限られる中で維持管理に課題を抱えており、相談を受けることは多くあります。私たちとしては、まず自治体自身が維持管理を進められるよう、技術的助言や人的支援を行っているところです。例えば、複数自治体による共同発注の検討支援や、維持管理に関する技術アドバイスなど、自治体の実情に応じた支援を行っています。


 また、「メンテナンス会議」やフォーラムを通じた技術支援にも力を入れています。整備局が主催する場で、自治体のニーズと企業側の技術シーズをマッチングしたり、自治体職員のスキルアップにつながる研修を実施したりしています。


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