大林組 『HOLLOWAL』の試験施工を公開

大林組 『HOLLOWAL』の試験施工を公開
2024.07.11

RC中空床版橋架替えの工期を約半分に短縮 PC化で桁重量を3割削減、高耐久化

Tag
大規模更新
Share
X Facebook LINE

 大林組は、埼玉県内の調達先の工場敷地でプレキャストセグメント工法を利用した新しいRC中空床版橋の架替え工法『HOLLOWAL』の試験施工を行った。試験施工は支間長約16mの6径間の2車線道路を想定し、1径間の半断面1車線分を想定した模擬試験体を製作し、橋脚の高さに因らず作業性を配慮して設定した桁下端から約2.5m下に作業ステージを組むことを想定して施工した。架設は支間長15.6mに10個のプレキャストセグメント(支点部セグメント4個、支間部セグメント6個)を配置する。セグメントのサイズは支間部が2m×5.4m、支点部(橋脚付近など)は1.7m×5.4m、桁高は既設の中空床版橋と同じ0.9m、重量は12t(支間部セグメント)程度に抑えた。PC鋼材による縦締めを行うため、セグメントの製作はマッチキャスト方式を採用し、高い出来形精度を確保している。橋軸方向、橋軸直角方向ともにPC構造であるため、高耐久化が期待できる。


セグメントの製作はマッチキャスト方式を採用

国土強靭化への第一歩! 超緻密高強度繊維補強コンクリート『J-THIFCOM』 全てのコンクリート構造物の調査・診断・補強・補修に関する総合エンジニア アクアジェット工法

約12mのPC鋼材を挿入

4輪のウレタン製ローラーを使ってPC鋼材を挿入

定着具は、メスコーンと2枚刃のオスコーンで構成

 今回の試験施工見学会では、見学時間の制約上、支間部セグメントを4個設置済みの状態で、残りの支間セグメント2個を設置し、引き寄せ鋼棒を用いて接合したのち、約12mのPC鋼材の挿入まで施工した。


クレーンによる架設

引き寄せ鋼棒を用いて接合


 試験施工におけるセグメントの架設は実施工で使用する架設桁および揚重機ではなく、クレーンを使用した。また、プレキャストセグメントは架設する側の接合部界面にエポキシ系接着剤を塗布することで鋼材腐食への対策を施している。さらに架設時は引き寄せ鋼棒を用いて、プレキャストセグメントの接合部に0.3MPa程度の圧縮応力を与えておく。

 次に、PC鋼材の挿入は、緊張端側から写真のように4輪のウレタン製ローラーを使って、スムーズにシース内に押し込むことができるようにしている。


PC鋼材の挿入作業

ウレタンローラー


 反対側の固定端側は、150~200mmと定着具の設置が人力では困難なほど狭い。今回使用するシングルストランドの定着具は、メスコーンと2枚刃のオスコーンで構成されている。前述した通り狭隘箇所へ後から定着具を設置することは困難なため、セグメント設置時にあらかじめ定着具を設置しておく。そして、この2枚刃のオスコーンがずれずに設置可能となるバネを装着した特殊治具をメスコーンに設置することで、ケーブル挿入時に規定通り定着具が設置できるようにした。


定着具と設置状況

概要図

試験施工時の狭小部の定着工①

試験施工時の狭小部の定着工②
(定着具に差し込み、それを外した後、挿入側から少し引張り、完全に定着させた)

CORE技術研究所 道路下面施工が容易で発泡ウレタンの圧縮変形特性を活かした非排水用乾式止水材 プレスアドラー 低騒音・低振動コンクリートはつり装置 AUTOCHIPPER

幅20cm程度の調整目地部には有機繊維補強コンクリートを打設

断面ごとの接合部(縦目地)にはスリムファスナーを適用

 実際の現場では同様に支点部のセグメントも架設後に一次緊張する。支間部と支点部の間には幅20cm程度の調整目地部があるが、これは有機繊維補強コンクリートを打設し、連続ケーブルを挿入・緊張(二次緊張)することで一体化するため、特に鉄筋の配置は必要ない。

 1径間毎に本作業を繰り返すことで、多径間連続橋(例えば2径間目の2次緊張ケーブルを、1径間目にたすき掛けすることで連続化構造としていく、これを繰り返す構造とする)として完成させる。

 同橋は、半断面あるいは複数分割断面でも自立できるよう設計されているため、半断面施工後すぐに車両を通すことも可能である。断面ごとの接合部(縦目地)にはスリムファスナー(常温硬化型のUFCを使用したPCa床版の接合工法)を適用することにより、分割施工した断面全体を横締めするPC鋼材(ポストテンション床版横締鋼材)を不要とすることができるため、コストダウンを図りながら工期を短縮できる。


半断面あるいは複数分割断面でも自立できるよう設計

pageTop