大林組 『HOLLOWAL』の試験施工を公開

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2024.07.11

RC中空床版橋架替えの工期を約半分に短縮 PC化で桁重量を3割削減、高耐久化

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大規模更新
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専用架設機は昼間作業2日弱で設置可能 能力は約12tを目安

専用架設機は昼間作業2日弱で設置可能 能力は約12tを目安

既設橋全部を取り替えるため撤去作業の手間を軽減

 実施工では、規制期間外に先行して既設中空床版桁をジャッキアップし、既設支承を取り替えておく。

 その後、規制期間内の作業に入るが、まず専用架設機を設置する。支間長は15~18m程度を想定しているため、総延長40m程度の架設桁を2~3分割してトレーラーで搬入し、トレーラー上に載荷している桁を添接板でつなぐことで一体化する。その上に中空床版橋の撤去・架設を行う揚重機を小型クレーンで架設する。これらの作業は昼間作業のみで2日弱で完了できる。揚重機の能力は新設セグメント(半断面ブロック)の約12tを目安としている。


専用架設機図

架替え施工サイクル


 次いで、桁をワイヤーソー等で切断し、撤去していく。従来の中空床版橋の打ち替え工事では、高欄と中空床版桁上面を切断あるいはウォータージェットではつり取って施工するため、規模の割に多くの工程を必要としたが、本工法は既設橋全てを取り替えるため、そうした小割切断やはつり工程がいらず、揚重機の能力なりの重量で切断(基本的には半割)して撤去し、別のトレーラーで場外に搬出していく。そのあと、撤去された部分のステージング上にプレキャストセグメントを架設し、一次緊張、二次緊張後、次径間に移るという工程を繰り返す。


従来のRC床版の打替え状況とその範囲

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工期を約半分に短縮可能

全橋梁延長の約20%程度を占めるRC中空床版橋の架替えへの適用目指す

 従来のRC中空床版橋の打替え工事と異なり、現場でのはつりや現場での鉄筋・型枠の設置現場打設などの工程が著しく減少する。さらにプレキャストセグメントの架設が大部分を占め、現場打ちコンクリートの打設数量が少ないため、雨の影響も最小限に抑制できる。「従来は6径間連続RC中空床版橋の床版部を打ち換える場合、高速道路閑散期であるGW後あるいはお盆後の交通規制が可能な90日間×2期、合計180日間の工期が必要であったが、HOLLOWALは同規模の橋梁を約半分の90日×1期のみで施工(架け替え)することができ、工期を約半分に短縮できる。」(大林組)

 そうした工期の短縮効果により、規制日数を大幅に削減できることから、従来の床版打替え工事と比較してトータルコストを削減することが可能だ。

 上部工の構造もPC化、高強度化(設計基準強度50N/mm2)することで、高耐久化、スリム化している。構造のスリム化により、上部工死荷重を約3割低減できるため、橋梁全体系の耐震性向上が図れる。

 同社は「東名高速道路や中央自動車道等における全橋梁延長の約20%程度(同社調べ)を占めるRC中空床版橋の老朽化に伴うリニューアル工事の新工法として全国の高速道路への早期適用を目指していく」考えだ。

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