Interview

能登復興事務所 地震そして豪雨からの復興

2025.05.21

昨夏の豪雨による被災は146箇所

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国土交通省
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確かな技術で社会基盤の発展に貢献する ネットワーク対応型無人化施工システム 陥没対策に最適 充填工法の切り札

3Dプリンターで排水溝の部材を製作し、現場に設置

3Dプリンターで排水溝の部材を製作し、現場に設置

地域の皆様の思いも汲みながら、本復旧

 ――3Dプリンターの活用も排水構造などの設備で使われていますね

 杉本 交差する排水溝の据え付けにおいて、試験的に採用しました。使用した箇所は能越自動車道輪島道路の現場です。輪島市山ノ上町の道路排水と農業用水が立体的に交差する場所(輪島市山ノ上町)で、2本の水路が無理なく流れる形の構造物を採用しました。3Dプリンターで排水溝の部材を製作し、現場に設置しました。従来の手法では1週間程度かかっていた作業を1日で完了しました。従来の手法は交差する箇所をパイプでつなぐなど現場で大きな手間を必要としていました。また、曲線に対応するため、プレキャスト部材であっても数ブロックをつなげて、現地で調整しながら一体化する必要があり、これも手間であるばかりか、シームの発生による損傷原因の増加が懸念されていました。


交差する排水溝の据え付けにおいて、試験的に採用
3Dプリンターで排水溝の部材を製作し、現場に設置した(2025年2月18日 井手迫瑞樹撮影)


 3Dプリンターを使うことで、現場の状況を理想的に反映した一体もののプレキャスト排水溝を作ることができ、そうした手間も損傷要因の極小化も図ることができます。コストは少し高くなり何処でもなんにでもつかえるわけではありませんが、早期復旧と維持管理コストの縮減を考慮すれば、本現場では十分採用に足ると考えました。

 施工は豊蔵組が行っています。

 ――橋梁のプレキャスト化にも3Dプリンターは寄与できそうですね

 杉本 使えると思います。標準的な部分は型枠を用いて工場で製作することになるでしょうが、最後の調整端部などは型枠を作るのは非常に手間がかかりますし、現場打ちも設備と手間を要します。これを3Dプリンターを用いてプレキャスト化することは省人・省力化にも寄与しますし、構造物の品質向上にも寄与すると考えます。

 ――地震や水害で発生した廃棄物の再利用も行っていますね。流木などは集約裁断して提供する取り組みもなされています

 杉本 災害で発生したコンクリートがらや舗装のアスファルト廃材などは応急復旧時の路盤としてできうる限り用いています。

 流木は、元々奥能登地方では冬季の暖を取るため、または塩田の際の燃料として薪として活用されています。直接供与することは立場上できませんが、廃材として集積しているものを自由に活用することは、していただければ我々も廃棄物の処理量を減らせますし、彼らも伐採の手間を減らすことができます。昔から河川事業で行ってきたことですが、今回もそうした手法を援用できるのではないか? と考えました。

 ――最後に産業や景観、機能集約も考えた生活と以外の教育標準化を両立についてお答えください。前回のインタビューでも被災した市町の住民の方と対話を行い、復旧復興の仕方を考えたい。安全安心と景観性をできるだけ両立した道路復旧。復興を行っていきたいという話をされていました

 杉本 これまで応急復旧ということを行ってきて、これから本復旧を進めていくことになります。県・市・町とも復興のビジョンがどんどん出来上がってきていて、地域をどうしていくか、どうしていきたいか、という事が見えてきている状況かな、と考えております。

 当事務所は、技術的に難易度が高い現場が多いので、能登半島地震道路復旧技術検討委員会というものを設置して、国総研や土研、学識者の皆様方の知恵をお借りして、どうすれば安全な構造物をつくれるかという事を追求しています。

 一方、それだけではなく、地域の皆様の思いも多少汲みながら、本復旧していかなくてはならないと考えています。その中で大きな取組みとしては能登半島絶景海道の創造的復興に向けた検討会を立ち上げ、全体としてどういう能登半島にしていくのかを考えております。その中で道路に対する意見を出していただき、道路の性格や(景観に適した)位置などを考慮して本復旧を行っていきたいと考えています。

 これまで海を見ながら走れた道路が普通であり、それが観光にも寄与していました。本復旧でもそうした側面と安全性を考慮しながらご意見を頂き、本復旧を進めていきたいと考えております。

 ――ありがとうございました
(本稿は2月17日にインタビュー取材した内容をその後の取材を踏まえて加筆したものです。)

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