Interview

NEXCO西日本 延長 約56kmの新設事業、延長約192kmの区間で拡幅事業進める

2024.06.25

Tag
NEXCO西日本 PC 鋼橋
Share
X Facebook LINE
ホイールローダ遠隔操作システム Tunnel RemOS-WL 鋼材減肉部・孔食部における次世代パテ補修工法!

BIM/CIM 3D測量データを設計、そして現場施工へと連携

BIM/CIM 3D測量データを設計、そして現場施工へと連携

「別埜谷橋」 橋梁の振動等を計測する常時モニタリングシステムを構築

 ――BIM/CIMの活用については
 後藤 いくつかモデル工事をやっています。国土交通省が中心に取り組んでおり、その動きも見ながら、充実させていきたいと考えています。

  BIM/CIMの推進として、3D測量データを設計、そして現場施工へと連携し一連の業務の効率化(生産性向上)を目指していきます。

 具体的には、3D測量の標準化、3D設計実施マニュアルの整備、クラウド活用推進に向けた環境整備と技術講習会の開催、推進モデル事務所の設置、BIM/CIMの積極的活用など、関連団体及び業務・工事受注者の意見も取り入れながらBIM/CIMの原則化に向けた環境整備を進め、受発注者で協力しながら生産性の更なる向上に努めてまいります。


 ――ライフサイクルコストの向上策としてはデュラスラブやデュラブリッジはある意味極みといえますよね。鉄筋を使わないため錆びないのですから。また、御社のTAPS溶射などは跨道橋部や跨線橋部などにおいて、極めて防食性の高い溶射を使って塗装の塗り替え頻度を少なくするため用いています。ボルトもTAPS溶射ボルトを使って少しでも維持管理サイクルを長くして、耐久性を上げています。そのような形での新技術新工法について教えてください

 後藤 超高耐久橋梁に関する研究や検討を進めてきたいと考えています。高速道路の橋梁については、凍結防止剤の散布や沿岸部の飛来塩分により、鋼材の腐食による劣化が課題となっています。このような背景を踏まえ令和2年12月には、新設の高速道路本線としては初めてとなる「非鉄製材料を用いた超高耐久橋梁:Dura-Bridge」を採用した「別埜谷(べっそだに)橋」(橋長26.5m、非鉄製バタフライウェブ箱桁橋)を完成させ、令和3年3月31日より供用しました。Dura-Bridgeは、鋼材腐食によるコンクリート片はく落などによる第三者被害を防ぐとともに、耐久性の向上により、将来の維持管理費用の低減が期待されます。なお、本橋梁においては、Dura-Bridgeの研究成果を応用して開発した「超高耐久壁高欄(Dura-Barrier)」についてもあわせて採用しています。

 「別埜谷橋」においては、構造の長期健全性の確認のため、橋梁の振動等を計測する常時モニタリングシステムを構築し運用しています。橋梁完成から現在に至るまで、異常等は段認されていません。

 また、これまで得た知見を応用し、超高耐久のプレキャストPC床版「Dura-Slab®」を中国自動車道 蓼野第二橋(たでのだいにきょう)の床版取替工事にて採用しています。

 今後、完成後のモニタリングの状況を踏まえつつ、橋梁の長寿命化に向けて適用範囲の更なる拡大や、連続橋への採用に向けた検討を進めていきます。

複合型ケイ酸塩系鉄筋防錆材「リフレ防錆コートZN レックス工法」 人と人とをつなぐ、それはやがて、景色になる エンジニアリングがつなぐ人とインフラ

技術者の育成は、現場によく足を運んで生の現場を見ることが基本

支社や本社がしっかりバックアップ

 ――今後のNEXCO西日本の人材育成をどのように行っていこうとしているのか、教えていただけますでしょうか

 後藤 分野を問わず共通することだと考えますが、技術者の育成は、現場によく足を運んで生の現場を見ることが基本だと考えます。それはわが社に限った話ではなく、建設業界共通のことだと思います。

 ただ一方で事業量が大幅に増加するなか、限られた人員でこれらの業務をこなしていくためには、日頃からの研修もしっかりやらなくてはいけません。その体制づくりは支社や本社が支えるなど、全体の総合力できちんと人材育成をしていかなくてはなりません。現場で関係機関との調整や地元への説明など行うとともに、実際に施工業者との調整などを行っているのは各事務所であり、本来はその先輩・後輩関係で、アドバイスできればいいのですが、業務の多忙さからそれが十分とまではいかない可能性もあります。したがって支社や本社がしっかりバックアップしていかなければいけないと思っています。

 新しい道路の建設や既設道路のメンテナンスなどにより、お客様に安全・安心に通行していただくというのは、その現場が的確に機能することが前提です。そこの基本的な部分をしっかりと支えなければならないと考えます。

 その具体的な取組みとして、本社の経営企画部・建設事業部が協力し、支社や本社に技術支援チームという組織を作り、積算・計画・設計・施工管理という各工程で悩んだ技術者に随時なアドバイスを行っています。とりわけ積算については、建設事業部の技術管理課が協力しながら、若手技術者一人一人への支援・サポートを行っています。


――最後に付言することがありましたら

 後藤 高速道路の仕事は、大変やりがいのある仕事だと思っています。高速道路は、社会経済活動や国民の皆様の生活を支える最も根幹的な社会インフラであり、当社の社員は、自信と誇りを持って仕事に携わっていると感じます。高速道路の新設にしても4・6車線化にしても、新たに繋がる・あるいは道路が拡がるということは、物流・人流の効率化、あるいは災害時の救助救援ルートという意味でも非常に大きなインパクトがあります。

 4車線化についてですが、本来は最初から完成形の4車線で作った方がよいのは言うまでもありませんが、日本は地形的な制約が大きいことや、地震多発地帯といった面でトンネルや橋梁が多く、耐震設計もよりしっかりと行う必要があり、アメリカやヨーロッパにはないハンデを背負っています。そうした中で高速道路ネットワークを構築するには、まずは暫定的に2車線で作り、ネットワークを延ばすという手法もやむをえませんでした。それでも信号や歩行者といったものが無い分、一般道路に比べたら、事故率は極めて少ない安全な道路です。しかしそうは言っても暫定2車線と完成4車線を比べると、やはり暫定2車線では重大事故の発生率は高くなってしまいます。そうした安全上の意味からも4車線化は進めていかねばなりません。

 2024問題は運輸等にも大きな影響を与えていますが、4車線化すれば、速達性、定時性も高まります。トラックのドライバーの皆様が、より早く効率的に物を運べることに対して、混雑緩和のための4車線化は寄与します。


 ――大型車の制限速度も90㎞/hに緩和されます

 後藤 そうですね。そうした状況に応えていくためにも、4車線によるネットワーク整備・機能強化を進めていきたいと考えています。

 ――ありがとうございました

pageTop