Interview

国土交通省 四国地方整備局 福本仁志道路部長インタビュー

2026.01.01

四国8の字ネットワークを軸とした地域を支える道路整備

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国土交通省
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誰よりも好奇心 仕事に、働き方に、好奇心を刺激する仕掛けを 各種コンクリート試験 構造物の調査・診断 カーボンニュートラル 人々の「当たり前」を守る

塗替・防災・点検支援技術・DXの総合的な取り組み

橋梁補修の主要項目と今年度の施工計画

上部工補修、床版防水、支承・ジョイント更新の状況

 −−上部工の経年劣化や疲労による補修・補強のここ3年の実績と、2025年度の施工計画について教えてください。また、鋼床版の疲労亀裂に関する調査や補強の状況、コンクリート桁・床版に生じている典型的な損傷、そして床版防水の施工状況と今後の方針についてもお聞かせください。

 福本 四国地方整備局では、橋梁の健全性確保に向けて計画的な補修・補強を進めています。2022年 度(令和4年度)から2024年度(令和6年度)までの3年間で、計62橋の上部工補修を実施しました。
続く2025年度(令和7年度)には、24橋を対象に補修を行う予定です。




 



 コンクリート桁や床版では、ひび割れ、剥離、鉄筋の露出、うきなどの損傷が見られます。
 さらに、橋梁の耐久性確保に重要な床版防水については、2022年度から2024年度の3年間で27橋へ対策を実施しました。
2025年度は16橋で床版防水を施工する計画としています。


 −−支承取り替えやジョイントの取り替え、およびノージョイント化について、今年度の施工予定箇所数と工法・種類を教えてください。

 福本 2025年度(令和7年度)は、5橋で支承の取り替え(ジャッキアップ工法)、10橋で伸縮装置の取り替えを予定しています。



 −−塩害やアルカリ骨材反応(ASR)による劣化は見られますか。また具体的な劣化状況や対策について教えてください。

 福本 現在、管内の橋梁では塩害やASRによる劣化も確認されています。
2025年度(令和7年度)には、塩害が見られる2橋に対して断面修復工などの対策を実施する予定です。


 また、ASRへの対応としては、表面含浸工やひび割れ注入工などを行っており、状態の進行を抑制するための対策を進めています。

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鋼橋塗替・防災対策・点検支援技術の活用状況

塗装更新、橋梁更新事例、新技術導入の取り組み

 −−2025年度の鋼橋塗替の実績・予定、重防食の採用状況、有害塗膜への対応、耐候性鋼材橋梁の健全性について教えてください。

 福本 2024年度(令和6年度)は、歩道橋を含む12橋で、延べ約30,000㎡の塗装塗替を実施しました。2025年度(令和7年度)も同様に12橋を対象として、延べ約25,000㎡の塗替を行う予定です。

 また、ポリ塩化ビフェニル(低濃度PCB)廃棄物については、定められた期限内で確実に処理する計画としており、鉛などの有害物質を含む既存塗膜についても、関連法令・通知に基づき適切に対応しています。

 耐候性鋼材を使用した橋梁は69橋を管理しており、そのうち2橋でⅢ判定となっています。引き続き健全度の把握と必要な対策を進めていきます。



 −−全国的に土砂災害が相次いでいます。河積阻害率の高い橋梁の改良や補修・更新、道路沿いの斜面・法面・盛土の補強について、具体的な事例や計画があれば教えてください。また要対策箇所数と進捗状況についてもお聞かせください。

 福本 まず橋梁の更新事例として、香川県西部を流れる二級河川・財田川に架かる国道11号の本山橋があります。本山橋は昭和27年竣工で、令和5年時点で架設後71年が経過しており、これまで耐震補強が行われていませんでした。

 令和5年3月には有識者による検討会を開催し、「老朽化、橋脚の洗堀、下部工の耐震性能不足から早急な対策が必要」との評価を受けました。さらに、経済性・施工性・治水上の安全性を総合的に踏まえ、橋梁の架け替えが妥当と判断されました。これを受け、令和5年度から架け替え事業に着手し、現在は橋梁前後のアプローチ部の改良工事を進めています。

 一方、道路防災に関する要対策箇所については、点検の結果、令和7年度以降で約150箇所が対策必要と判断されています。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」などの枠組みを活用し、緊急性の高い箇所から順次対策を進めているところです。





 

−−新技術の活用やコスト縮減策、独自技術・新材料の導入状況について教えてください。NETIS 技術の活用事例があればぜひ紹介してください。

 福本 近年、直轄国道における橋梁・トンネル点検では、効率化と高度化を目的として新技術の活用が大きく進んでいます。令和4年度からは、橋梁・トンネル点検で点検支援技術の活用が原則化されており、橋梁ではドローンや通常だと船でしか行けないような場所を測定できる無人ボートの活用やAI画像解析などを積極的に活用しています。

 具体的には、赤外線調査とAI解析を組み合わせた「Jシステム Evolution」や、画像からひび割れを自動検出する社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」など、NETIS登録技術も幅広く導入しています。







 

 トンネルでは、走行しながら覆工の状態を連続的に計測できる走行型計測システム「MIMM」を使用し、従来より短時間で高精度の点検を可能にしています。



 さらに、令和5年度からは舗装点検においても新技術の活用を開始し、令和7年度からは道路巡視も含めて、直轄国道の各種点検で点検支援技術の活用を原則化しています。今後も新技術を積極的に取り入れ、点検の効率化・高度化を継続的に進めていく方針です。

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特殊・長大橋梁および自治体橋梁への支援事例

直轄診断・修繕代行の活用と支援体制

 −−特殊・長大橋梁の架替や大規模修繕、長大トンネルの修繕事業について。また権限代行による自治体橋梁の点検や補修・架替の事例があれば教えてください。

 福本 現在、四国地方整備局が直轄で実施している特殊・長大橋梁の架替や大規模修繕、長大トンネルの修繕事業はありません。しかし、国による地方公共団体への支援制度である「直轄診断」および「修繕代行事業」を活用した事例があり、四国でも一定の実績があります。

 代表的な例が、高知県仁淀川町が管理していた吊り橋「大渡ダム大橋」です。この橋はもともと国が大渡ダム工事に伴って整備し、完成後に町へ引き渡されたものでしたが、老朽化が進み、より高度な診断が求められる状況になっていました。自治体からの要請を受け、平成26年9月に全国で初めての直轄診断を実施し、翌年1月には診断結果を町へ報告。その結果を受けて、同年4月には国が修繕代行として必要な補修工事を行いました。

 このように、自治体単独では対応が難しい構造物について、国が専門的な知見と技術力を活かして支援する枠組みが整備されています。四国地方整備局では、各県で開催している道路メンテナンス会議を通じてこれらの支援制度を周知し、必要に応じて迅速に対応できるよう技術力の向上にも努めています。

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インフラDXの推進と具体事例

設計支援・施工支援・保全分野での技術活用

 −−新設・災害復旧・保全を問わず、安全性向上や業務効率化、DX活用について、具体的な事例を教えてください。

 福本 四国地方整備局では、インフラ分野でのDX推進を組織的に進めるため、令和3年8月に「四国地方整備局インフラDX推進本部会議」を立ち上げました。「地域建設業の担い手確保」「行政手続きや暮らしにおけるサービスの改革」「職員の働き方改革」という三つの方向性のもと、令和6年度には生産性向上やデジタル技術活用を中心に48の取り組みを展開しています。道路分野でも、施工者提案の積極採用による定型作業の効率化など、さまざまな取り組みを進めています。







 設計分野では、橋梁詳細設計にMR(複合現実)技術を導入しました。現場の3次元空間に完成イメージや地下埋設物の3Dモデルを重ねて表示し、Teamsを活用した遠隔臨場による打合せや、現地の2次元バーコードから施工ステップを360度表示するなど、従来にない視覚的な確認が可能になりました。また、地下横断歩道の形状や施工時の切回し案を360度動画でシミュレーションし、関係機関との合意形成に活用することで、協議の効率化と課題共有の迅速化が図れました。



 

 橋梁上部工の施工でもMR技術を活用しています。上部工を支える架設支保工の検査にMRを用いたところ、従来の紙図面を用いた検査と比較して作業時間を約67%削減でき、現場作業の大幅な効率化につながりました。



 トンネル工事では、担い手不足や危険作業の軽減を背景に、自動化や省人化技術の導入が求められています。しかし、従来の技術提案評価型(S型)入札では仕様変更が認められず、費用面でも高度な提案が行いにくいという課題がありました。そこで、標準仕様に対して一定範囲の変更を認め、発展的な技術提案を受け付ける「技術提案評価型S1型」を全国で初めて試行することとなりました。テーマは「鋼製支保工作業における自動施工技術等の省人化施工」で、令和7年7月30日に安芸道路・安芸トンネル工事として公告しています。この工事では、本省や他の地方整備局とも連携し、トンネル自動施工技術の実施要領や積算基準などを整理することで、現場導入を促進し、安全性と生産性の向上を両立させたいと考えています。

 保全分野でもDXを活用しています。国道33号では、冬期の積雪時に久万高原町方面へ向かう車両に対し、峠手前へデジタルサイネージを設置しました。現地の積雪状況をドライバーへ視覚的に知らせることで、説明にかかる時間が短縮され、より分かりやすい情報提供が可能となりました。



 −−最後に一言いただいてもよろしいですか。

 地元の皆さまからも四国8の字ネットワークへの期待は大きく、私たちとしても責任を持って整備を進めていく考えです。人口減少が進む中で、地方が安心して暮らせる環境を整えることは国の大きな使命であり、その実現に向けて、四国8の字ネットワークを必要なインフラとしてしっかりと位置づけ、重点的に取り組んでいきたいと考えています。

 −−ありがとうございました。

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