Interview

国土交通省北海道開発局旭川開発建設部 高規格道路整備と橋梁保全を推進

2026.02.24

農業は大区画化を促進

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国土交通省
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>半谷 敬幸氏

国土交通省
北海道開発局
旭川開発建設部長

半谷 敬幸

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 旭川開発建設部は、北海道中央に位置する4市17町2村を管轄し、国道11路線約760kmの維持管理や高規格道路の整備を進めている。管内は稲作を中心とした農業が盛んで、旭山動物園や美瑛の白金青い池など国内外でも有名な観光資源も豊富である。今年度は音威子府バイパス(音中道路)の開通を予定しており、道北圏の救急搬送における安全性・定時性の向上が期待される。橋梁は469橋を管理し、そのうち約4割が供用50年以上を経過しており、凍害などによって損傷した構造物への対策を進めている。そのほか、農業や河川などの話題も含め、同建設部の半谷敬幸部長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

鋼構造物の再生と環境の調和 循環式ブラスト工法、循環式ショットピーニング工法 たわみも張力もミリ波レーダーで複数測点同時計測 近接目視点検 非破壊検査 おまかせください

北海道縦貫自動車道士別剣淵~名寄間約24kmは事業進捗率76%

北海道中央に位置し、農業・観光が盛んな地域 面積は全道の約13%

人口47万人の7割が旭川市に集中 内陸性気候で寒暖差が大きい

 ――管内の地勢的特徴と道路整備の方針について

 半谷部長 旭川開発建設部管内は、北海道のほぼ中央に位置しており、4市17町2村からなる地域を所管しています。面積は1万619km2で全道の約13%を占め、岐阜県とほぼ同じ大きさです。東西約100km、南北約220kmと細長い地域には、中核都市である旭川市を中心に広域分散型社会を形成しており、北部には名寄市・士別市、南部には富良野市を拠点とした地域が形成されています。ただし、人口は約47万人で、岐阜県の人口の約4分の1となっています。人口の約7割が旭川市に集中し、その周辺はかなり疎な状態となっています。北海道の中でも冬の寒さが厳しく、夏との寒暖差が非常に大きい内陸性気候の地域です。

 管内は農業が盛んであり、とりわけ上川・名寄・富良野盆地が代表されます。耕地面積は13万haで全道の約11%を占めています。南北に長い地域であり、稲作、畑作、酪農、畜産など地域ごとに特色のある農業が営まれています。農家戸数も約6,500戸と全道の約17%を占めています。地域としては、特に、稲作が主になっており、畑作は小麦、豆類、甜菜、馬鈴薯が造られています。北海道は日本の食料基地といわれていますが、上川地域もその一翼を担っていると自負しており、農業産出額は1,284億円で道内シェアの約10%となっています。良質な清酒や農産物の加工品を生産していますが、最近は、米そのものをを輸出しようという取り組みも始まっています。
林業分野においては、広大な森林資源に恵まれており、森林面積は全道の約15%を占めています。パルプ・紙加工品や旭川家具などの木材関連製造業が商工業の中核となっています。旭川には製紙工場もあるほか、特に旭川家具は優れたデザイン性と機能面から地域ブランドとして海外にも輸出されています。

 全体の産業を見てみますと、工業出荷額が約3,000億円、主は食料品、紙、加工品、木材製品などで全体の6割を占めています。

 観光面では、旭岳や十勝岳など大雪山国立公園があるほか、加えて旭山動物園や美瑛の白金青い池などの海外にも有名な観光地があり、令和4年には美瑛・上富良野が十勝岳ジオパークとして認定されました。観光客は約1,846万人、訪日外国人もまだまだ少ないですが、約63万人が訪れています。

 そんな中で、旭川開発建設部の道路事業としては、国道11路線、延長約760kmの改築、維持管理と高規格道路の整備を進めています。中核都市と生産空間を結ぶ交通ネットワークを確保するとともに、農林産品や観光等に求められる広域的な人流・物流を支える交通体系の強化を推進しています。

 今年度は音中道路が開通予定です。音威子府村~中川町までの約19kmのバイパスです。例えば、中川町、天塩町、幌延町の方は、緊急時は高度医療施設を有する名寄市へ向かわれます。年間約100件以上搬送されていますが、現道の国道40号は、急カーブが多く、冬季は雪崩の危険性もありますので、安定性が十分ではありませんでした。音中道路が開通し、より安全な道路となることで、住民の命を守る「命の道」として力を発揮していくことになります。また、農産品などを消費地に運ぶ意味でも重要な道路といえます。

 河川事業としては、石狩川上流、天塩川上流の治水安全度向上に向けて河道掘削等を進めています。

 また、管内の特徴として十勝岳を抱えているので、火山噴火に対応した砂防事業も推進しています。十勝岳は最近では1988年(昭和63年)に噴火しました。それを契機に火山噴火による泥流への対策を進めています。白金青い池は、1988年(昭和63年)の火山噴火を踏まえた対策として、コンクリートブロックを短期間で積み上げ堰堤を築造したところに、水が溜まり池となったものです。観光客の皆様は純粋な自然現象と考えられているようですが、実は火山噴火対策として整備した人工構造物の中に出現したものです。

 十勝岳は1926年(大正15年)にも噴火し、大泥流を引き起こしました。これらは三浦綾子さんの小説『泥流地帯』などにも著されていますが、今年(2026年)はそれからちょうど100年の節目の年となります。前回の噴火から約40年が経過していますが、いつ噴火があっても対応できるように自治体の皆様と協力して防災訓練を行うなど、火山噴火への対策をより一層強化していきます。

 当地域では、概ね30年程の周期で噴火を繰り返す十勝岳の火山災害に備え、火山と共生する地域づくりを進めており、関係機関が連携し、火山と共に生きるこの地域の美しい景観と砂防施設等を巡る「インフラ・ジオツーリズム」の実現に向け取組を実施しています。これらの取組を通じて地域の持続可能な観光振興や防災意識向上に寄与するものと期待されます。

 道北の拠点である旭川市の旭川駅裏(南側)には、石狩川の支川である忠別川が流れており、2023年(令和5年)から旭川市のまちづくりと一体となった「かわまちづくり事業」を進めています。現状でも様々な施設が地域の方々に利用されています。まだまだ、整備を進めている最中ですが、既に駅の南側は市民にとって素晴らしい憩いの場になっています。これから整備が進むごとに、さらに活用され賑わいが創出されると思っています。


かわのまち、それはすなわち橋の街ということでもある。旭川は様々な橋が架かっている(井手迫瑞樹撮影)


 農業事業では、特に水田の大区画化事業を進めています。1区画2.2haの水田に大区画化を図り、さらにICTを活用したスマート農業を導入することで、農業人口が減少する中でも食糧生産が持続できるような事業を推進しています。

橋梁の保全業務におけるBIM/CIMの活用 国道229号 祈石橋梁群 橋梁の保全業務におけるBIM/CIMの活用 国道229号 祈石橋梁群 たわみも張力もミリ波レーダーで複数測点同時計測

観光客数も大切だが「周遊の質」も重要

二次交通と広域ネットワークの課題

 ――今後、観光客数の目標などはありますか

 半谷 北海道の連携地域別政策展開方針では、上川・留萌・宗谷の道北地域として、観光入込客数を令和11年までに2,600万人とするKPIが掲げられています。普段、地域の方々と話している中では、どちらかというと観光客の数というより、今来ている観光客に「どう周遊していただくか?」ということに関心が高くように感じます。

 実際のところ、旭川、富良野までは結構観光客がいらっしゃるんですよ。


旭川駅(上)、旭山動物園(下)


 ――しかしその周縁部をなかなか回らない

 半谷 そうですね。上川北部にはあまり届いていない印象です。例えば、名寄市には東洋一の雪質を誇るスキー場がありますが、観光客はあまり伸びていないようです。

 一方、管内南部の美瑛町は、観光客は山のようにいらっしゃいますが、それが経済効果には必ずしも繋がっていないようです。美瑛町では、通過型が9割と聞いています。

 その状況で、いかにビジネスとして成り立つ形にするかということに皆さん苦心しています。美瑛町などでは観光税導入も真剣に検討されています。

 旭川とオホーツク圏域を繋ぐ道路としては、旭川紋別自動車道を建設中です。現在は、遠軽まで高規格道路が延伸していますが。それを更に延ばすべく建設を進めています。 

稚内方面としては、先ほど、音中道路の開通をお話ししましたが、さらに稚内までも繋いでいく必要があります。整備が進めば、地域間連携がさらに進んでいくと思います。

 ――二次交通の状況について教えてください。旭川や富良野などターミナル駅までは行けても、そこからの交通が貧弱ということが、観光や産業の妨げになっていると思われますが

 半谷 観光面もそうですし、高齢化社会が進めば、車が運転できず、移動もままなりません。本当に二次交通の確保は重要な問題です。

 観光におけるラストワンマイルは、地方部の観光振興において重要なテーマと思っています。国土交通省では、「交通空白解消本部」が設置され、地域住民や来訪者が使えない「交通空白」の解消に向けて、取り組みが進められています。また、旭川開建では、オーバーツーリズム対策の一環として、カーシェア拡大に向けて実証実験を行うなど、取り組みを進めているところです。また、地域では、電動キックボードなどの新しいモビリティの導入や旭川空港を起点としたMaaSの事業検証などが行われています。それらの取り組みと連携しながら取り組みを進めていきたいと思います。

橋梁の保全業務におけるBIM/CIMの活用 国道229号 祈石橋梁群 橋梁の保全業務におけるBIM/CIMの活用 国道229号 祈石橋梁群 たわみも張力もミリ波レーダーで複数測点同時計測

旭橋は旭川のシンボル、1932年築以来架替えは無し

歴史的価値を称える100周年行事は?

 ――旭橋について教えてください

 半谷 旭橋は1932年(昭和7年)に造られた橋で、94年を迎えます。


旭橋(井手迫瑞樹撮影)


 ――北海道の名橋というと他には幣舞橋と豊平橋がありますが、いずれも架け替えられています。建設当時の面影を残すのは旭橋しかありません。

 半谷 最近、塗替えと補修を実施しました。旭橋は旭川にとってはかなりシンボル的な存在で、市も市民の方もすごく愛着を持っている大切な橋だと思います。


旭橋の桁下状況(井手迫瑞樹撮影)


 北鎮記念館には、昔の旭橋の写真が掲げてあります。昔は橋上に国旗と軍旗が掲げられたような写真もたくさんあり、第二師団が駐留する軍都であった昔の旭川の歴史を語る場所だと思っています。

 ――旭橋100年記念行事などの予定はありますか

 半谷 今のところ予定はありませんが、文化的遺産を有する国道橋であるわけですから、記念行事を望む声が大きくなれば、その声を大事にしなれければならないと思います。


旭橋はもうすぐ100周年を迎える(井手迫瑞樹撮影)

橋梁の保全業務におけるBIM/CIMの活用 国道229号 祈石橋梁群 橋梁の保全業務におけるBIM/CIMの活用 国道229号 祈石橋梁群 たわみも張力もミリ波レーダーで複数測点同時計測

国道10路線760kmを管理 4路線で高規格道路整備を推進

北海道縦貫自動車道士別剣淵~名寄間約24kmは事業進捗率76%

 ――道路事業の概要について教えてください

 半谷 道路事業としては、国道11路線、延長で760kmを管理しています。それらの改築、維持管理、そして高規格道路の整備を進めています。

 広域分散型社会を有する旭川開建と高規格道路ネットワークの整備として、北海道縦貫自動車道士別剣淵~名寄、国道40号音威子府バイパス、旭川十勝道路富良野北道路を推進しています。また、未開通区間解消のため、一般国道452号の五稜道路も進めています。この4路線を、特に、重点的に今進めています。

 ――各路線の事業進捗状況について教えてください

 半谷 北海道縦貫自動車道は道北圏域と道央圏の連絡強化を図る道路です。現在は、士別剣淵~名寄間延長約24.0kmの区間で工事を進めています。令和6年度末の事業進捗率は約76%(事業費ベース)、構造物比率は約3%となっています。 


士別剣淵~名寄間で工事が進む(井手迫瑞樹撮影)



士別剣淵~名寄 施工写真1(多寄北改良工事) / 同2(豊里南改良工事)

同③ (
多寄舗装工事) / 同④ (中士別南附属物設置工事)


 今後予定している構造物は2橋です。JRを跨ぐ(仮)風連宗谷跨線橋が延長約62m、幅員10.5m、2径間連結PCコンポ桁、風連別川を渡河する(仮)風連別河橋が延長約144m、幅員10.5m、2径間連続PCTラーメン橋です。同橋は下部工が完了しています。

 地域からも早期開通を望まれている事業です。

音威子府バイパスは事業進捗率96%で令和7年度開通予定

 ――音威子府バイパスについて詳しく教えてください

 半谷 先ほど話しました通り、今年のうちの道路の中での一つのトピックスとして位置付けています。今年度開通を予定しています。延長約19.0kmで、事業進捗率は約96%、構造物比率は高く、約54%となっています。というのもトンネルがかなり長く、音中トンネル(管内最長の4,686m)、物満内(ものまない)トンネル、筬島トンネル、音威子府トンネルなどがあり、さらに橋梁も16橋を建設しました。

 いよいよ開通に向けて、機運が高まっています。


音威子府バイパス

同バイパス(琴平西舗装工事)

橋梁の保全業務におけるBIM/CIMの活用 国道229号 祈石橋梁群 橋梁の保全業務におけるBIM/CIMの活用 国道229号 祈石橋梁群 たわみも張力もミリ波レーダーで複数測点同時計測

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