国土交通省北海道開発局旭川開発建設部 高規格道路整備と橋梁保全を推進
富良野北道路と五稜道路も着実に進捗
富良野北道路と五稜道路も着実に進捗
台ノ下山トンネル(延長約1,918m)の工事に着手
――富良野北道路と五稜道路の状況について教えてください
半谷 旭川十勝道路の富良野北道路は、富良野市と中富良野町をつなぐ部分に建設している延長約5.7kmの道路事業です。事業進捗率は約86%、構造物は橋が主で、比率は約13%となっています。最大の構造物は(仮)新富良野橋(619m、PC)です。高速ネットワークの拡充による上川圏と十勝圏の連絡機能の強化を図り、地域間交流の活性化及び物流の効率化等を支援するとともに、富良野市街における交通混雑、交通事故の低減を図っています。
橋の架設は全て完了しており、現在は前後の盛土工や、舗装工などを行っています。
地元からも、一日でも早い開通を望む声が寄せられています。
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盛土部の施工①(福原改良工事)
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盛土部の施工② 吉井改良工事 / 同③ 日進南改良工事
一般国道452号の五稜道路は、延長約11.7kmで、当建設部では旭川市から美瑛町間の通行不能区間の解消、地域間交流の活性化を図るべく、道路の建設を進めています。
五稜道路については、札幌開建が事業を進めている盤の沢道路と一体となる道路です。完成すれば美瑛町から芦別市までが繋がります。これらの地域は、旭川空港を拠点として観光客を誘致しており、空知方面と富良野がつながれば、さらに広域的な観光周遊が可能になるということで、地域としてもこの五稜道路の促進に要望を受けています。
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五稜道路(台の下山改良工事)
事業進捗率は約16%、構造物比率は約72%となっています。一部美瑛町内の約2.6kmが開通済みです。同区間は道道を国道に昇格させて整備を行った区間です。
現在は西側約6.1km区間の整備を進めており、2025年度には、台ノ下山トンネル(延長約1,918m、幅員8.5m、NATM工法)の工事に着手する予定です。また、今後の予定としては、オイチャヌンペ大橋(延長約144m、幅員8.0m、PC2径間連続Tラーメン箱桁橋)や、瑠辺蘂山トンネル(延長約2,980m、幅員8.5m、NATM)のトンネルを予定しています。
また、残り約3kmの現道規制区間については線形改良や拡幅を進めていきます。設計はまだ未着手ですが、一部で橋梁などの構造物は出てくる可能性があります。
――このほか、今後事業を開始すべく調査を進めている区間は
半谷 今回開通する音威子府バイパスの先線があります。中川町と天塩町を結ぶ北海道縦貫自動車道中川~天塩区間約20kmを調査しています。
もう一か所、管内の南側ですが、先ほどの富良野北道路の続きで、上富良野町と中富良野町の間約16kmの間を調査しています。
音中トンネル10年の難工事
軟弱地質で一部崩落、真円+三重支保工で対応
――管内で最近建設したあるいは建設中の特徴ある構造物は
半谷 音威子府バイパスの音中トンネルです。同トンネルはNATMで掘り進めました。2010年から工事を開始し、掘削を進めましたが、想定より軟弱な地質が分布し、それは蛇紋岩ですが、一部崩落による再施工するなど、工事が難航し、10年間かけて、2020年に漸く貫通しました。

音中トンネル施工状況(3次元FEM解析を行い、「真円+三重支保工」を採用)
――どのような対策をとられましたか
半谷 蛇紋岩層など、軟弱な地盤を通過する区間では、3次元FEM解析を行い、「真円+三重支保工」を採用しました。非常に難しい工事でしたね。
――台の下トンネルや瑠辺蘂山トンネルの岩質は大丈夫ですか
半谷 台の下トンネルは、今わかっている範囲では、地質面では問題ありません。瑠辺蘂山トンネルはまだ調査中です。
流域治水プロジェクトで総合的な水害対策
石狩川・天塩川で協議会を設置
――最近は水害の規模が今までと違ってきています。旭川管内でも私も取材しましたが2016年8月には高原大橋の一部が流され、各地で大きな被害を生じました。一方で、旭川管内は水田も多く、そこに雨水をため活用するという考え方など様々な水害から地域を守る取り組みについて教えてください
半谷 農業方面で説明しますと、開発局全体で検討している流域治水の話になりますが、現在、水田に対して、豪雨時に貯水機能を持たせることで、災害を防止すべく、田んぼダムという取り組みを行っています。田んぼダムは、上川地域が天塩川流域上流、石狩川上流、空知川流域と大きく3つわかれていますが、田んぼがあるのは石狩川流域が多く、7割ぐらいの田んぼを田んぼダムとして活用することで対応していきます。
天塩川上流は約3割程度を田んぼダムとして活用しています。
――河川での対応は
半谷 当部では石狩川と天塩川、2河川の上流域を管理しており、両河川とも戦後最大規模である昭和56年8月洪水を安全に流下させるために事業を進めています。
近年、平成30年7月豪雨や令和元年東日本台風など、全国各地で豪雨等による水害や土砂災害が発生していることを踏まえ、旭川開発建設部では、国、北海道、市町村等から構成される石狩川上流流域治水協議会、天塩川上流流域治水協議会をそれぞれ令和2年9月に設置しました。
近年の激甚な水害や、気候変動による水害の激甚化・頻発化に備え、流域のあらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる治水対策、「流域治水」を計画的に推進するため、流域治水プロジェクトとして各機関が実施する流域治水の取り組みをとりまとめ、令和3年3月に公表しています。
さらに、気候変動の影響による降雨量の増大に対して、早期に防災・減災を実現するため、流域のあらゆる関係者による、様々な手法を活用した対策の一層の充実を図り、『流域治水プロジェクト2.0』として令和6年4月に公表しました。
石狩川は、下流の札幌開発建設部管内ではダムや遊水地など大規模施設を含めた災害への備えを進めていますが、当管内においては大規模施設の整備は概ね終わっており、現在は、石狩川上流では美瑛川の河道掘削、河床低下が著しい区間における河床低下対策、堤防決壊時に市街地への浸水リスクが高い区間における忠別川の河岸侵食対策、辺別川の堤防・河岸侵食対策を実施しています。
天塩川上流においては、美深市街の河道掘削、音威子府市街の堤防整備等を実施しています。

美深市街の河道掘削、音威子府市街の堤防整備状況
水害から地域を守るための取り組みとして、河川管理者が行う河道掘削等の対策のほか、流域自治体等の取り組みとして石狩川上流においては、北海道の生産力の中核を担う上川圏域の田んぼの貯留機能を活用した流出抑制対策や雨水幹線の整備、天塩川上流においては、公共施設建替更新に合わせ水害リスクの低い場所への移転等を進めています。
石狩川上流及び天塩川上流ともにソフト対策としてハザードマップの利用促進等の事前防災対策も進めており、関係機関が連携し、流域全体でハード・ソフト一体となった対策を実施しています。
――河川に架かる橋も水害には大きく関与します。最近では九州の球磨川の水害が記憶に新しいところですが、河川内にある橋脚の数は少ないに越したことはなく、河積阻害率が高い橋は架け替えた方が、水害リスクは低くなります。そうした橋への対策はどのように考えますか
半谷 熊本県の球磨川豪雨災害は、甚大な被害がもたらされたと承知しています。
なくなられた方へご冥福をお祈りします。河川断面を阻害する橋脚(=河積阻害率が高い橋)は、通水能力の低下・堤内水位上昇・局所洗掘・流木・氷・土砂の滞留といったリスクを複合的に増大させるものかと思います。それの抜本的対策の一つとして、橋の架替え(または橋脚撤去・スパン延伸)があろうかと思います。
橋の架け替えには、大きな予算と長い時間が必要であるため、橋梁の損傷程度など、総合的に判断しながら検討していきたいと思います。
――基礎の中には水が入ると脆くなる岩質のものもあります。そうした岩質の基礎が、日勝峠や西日本大水害の際は、いくつかの橋梁で見受けられ、大きな被害を齎していました。新設の際には、地震だけでなく、洪水のことを考えて基礎を考慮されますか
半谷 管内の現在建設している橋梁では、そうした河川などが近く水が基礎の影響する箇所はないため、特にそうした対応は行っていません。
風連多寄地区で農業用排水施設を整備
平成28年台風被害を受けて事業化
――農業事業の取り組みについて教えてください
半谷 特に今、旭川では、水田の大区画化を図る事業をしております。「国営緊急農地再編整備事業」と呼ばれるものです。愛別地区、大雪東川第一地区、同第二地区、旭東東神楽地区、旭東地区の5地区で区画整理を行っています。水田の大区画化(現在の1区画を0.3~0.5haから2.2ha以上にする(現在の水田6枚を1枚に統合))が主です。畔が少なくなることで草刈り等の維持管理時間の効率化も図れます。また、ICTを活用したスマート農業を導入することで、少子高齢化が進み、農業人口が少なくなっていく中で、しっかりとした食料生産が持続可能となる農業展開ができるよう事業を推進しているところです。

水田の大区画化施工状況

旭東農地整備事業聖台東神楽南工区区画整理工事
そのほか、用水施設、排水施設の更新、補修、長寿命化を図るため、「国営かんがい排水事業」などを実施しています。具体的には、共栄近文二期地区では、頭首工の補修や耐震化、用水路の更新や補修を行っています。風連多寄地区では、最近の豪雨などによる被害を解消するため、排水路の断面を大きくする工事や排水路の補修を行っています。鳥沼宇文地区では用水路の更新を行っています。
また、水害を軽減させる治水対策「流域治水」の推進のため、農業農村整備事業で整備した農業用ダムの洪水調節機能強化の取り組みも行っています。
管内469橋の半分近くが50年超え
橋梁208橋、トンネル4か所が建設後50年以上
――現在の管内橋梁・トンネルの内訳について教えてください
半谷 橋梁は、全469橋、うちコンクリート橋235橋、鋼橋226橋、その他(多径間橋梁でPC・RC・鋼が混在しているもの)8橋となっています。

――50年以上経過したものはどれくらいですか
半谷 供用後50年以上経過したのは208橋と半分弱に達します。
――やっぱり戦前は旭川に師団があった軍都だったからですかね
半谷 そういうこともあるかも知れません。さらに川も多く、必然的に橋は多くなります。
――同様にトンネルの状況について教えてください
半谷 トンネルは全部で23トンネルあり、うち在来7トンネル、NATM12トンネル、その他(開削工法または在来トンネルをNATMトンネルで延伸したもの)が4トンネルとなっています。完成後50年以上が4トンネルです。

50年以上経過したトンネルは、国道39号の新大函トンネル延長573m、大雪トンネル延長320m、国道237号の金山トンネル延長456m、国道273号の樹海トンネル延長685m、全て在来工法で山岳(矢板)工法です。
凍害によるコンクリート劣化が特徴的
伸縮装置からの漏水が主な要因
――点検を進めてみての劣化状況について教えてください
半谷 橋梁については、路線や橋種に関わらず、凍害によるコンクリート部材の損傷が多く見受けられることが特徴的と言えます。
部位ごとであれば、伸縮装置の止水機能低下による漏水により、桁端部や床版、沓座モルタルなどのコンクリートの凍害劣化や、支承などにおいては、鋼部材の腐食が少なからず生じています。

忠別橋の支承部の損傷例(井手迫瑞樹撮影)
また、床版には橋面防水劣化による漏水から、遊離石灰や剥離、鉄筋露出などの損傷が見受けられます。
橋梁の2巡目点検(R1~R5)の結果はⅢ判定が23橋に達しました。R6年度末時点で、対応済箇所は12橋、そのほか、湯の沢橋もⅢ判定でしたが、同橋は架替えを進めています。
――鋼桁については腐食などの損傷は生じていませんか
半谷 鋼桁はそれほど生じていません。凍結防止剤の影響は受けますが、それでも酷い損傷はありません。
――カルバート部では舗装の高さを合わせるためにサンドイッチ床版を積極的に用いている個所があり、その一部で上面鋼板部に損傷が生じている事例や下面にエフロレッセンスが生じている状況もあるようですが、実際はどのような状況ですか
半谷 サンドイッチ床版を適用している箇所で補修の必要な箇所が多発している、という状況ではありませんが、しっかり対応していきたいと思います。

サンドイッチ床版使用箇所(井手迫瑞樹撮影)
トンネルは目地部の浮き剥離が見られる
――トンネルの劣化状況について教えてください
半谷 トンネルについては、標高が高い山間部にあるトンネルは、覆工コンクリートの凍害劣化により、目地部のうき剥離が見られます。
長寿命化修繕計画を着実に推進
2巡目点検でⅢ判定23橋、12橋で対応済み
――今年度補修を施す橋梁は
半谷 近文大橋と比布跨線橋の2橋ですね。近文大橋は国道12号旭川市にある橋長435.1mの鋼橋です。比布跨線橋は国道40号比布町にある橋長37.3mの鋼6主単純合成鈑桁橋です。
今年度橋梁補修補強工事一覧

損傷内容は、主桁の腐食や床版のうき剥離、支承の腐食や伸縮装置の破断等となっています。これらの補修として、主桁当て板補修や、床版断面補修や床版防水、支承や伸縮装置取替えなどを行っています。

近文大橋の全景写真 / 同施工状況写真
――比布跨線橋の損傷について詳しく教えてください
半谷 JR宗谷本線を跨いでいる跨線橋です。凍害による損傷もありますが、伸縮装置部分が劣化しており、漏水が生じて凍結融解を惹起し、劣化を促進している状況です。伸縮装置および当該装置に起因する損傷を補修する方針です。
――比布跨線橋に関してはあて板補修が必要だという話ですけど、これは腐食による桁の損傷が結構激しいという感じですか
半谷 そうです。伸縮装置の止水性能が劣化したことによって生じた漏水から鋼桁端部が腐食損傷し、フランジやウェブに腐食や孔食が生じているため、あて板補修などを施します。

比布跨線橋の全景と補修状況
令和4~6年度で上部工26橋を補修
PC橋のグラウト充填不良対策は近年なし
――上部工補修・補強の実績について教えてください。また、鋼床版の損傷はありませんか
半谷 令和4~6年度の3か年で、上部工の補修は、26橋行っています。主に、主桁や床版の断面修復、伸縮装置の補修、支承の補修(防食や沓座モルタルの補修など)を施しています。
上部工補修状況

鋼床版における疲労亀裂については該当ありません。コンクリート桁、床版部における損傷については、ひび割れ、剥離等の損傷が見られます。
――PC橋のグラウト充填不良対策は行っていますか
半谷 ここ数年は、そのような対策は行っていません。



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