Interview

内閣府沖縄総合事務局 那覇空港道と沖縄西海岸道路を重点整備

2025.01.01

保全は来年度からとよみ大橋の補修工事に着手

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2025年新春インタビュー ASR 沖縄総合事務局 鋼橋 防食
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CORE技術研究所 確かな「モノ」創りで社会インフラの長寿命化に貢献する NETIS登録番号:QS-150017-VE]

小禄道路 橋梁部が全面展開

小禄道路 橋梁部が全面展開

読谷道路で読谷トンネルの函渠施工が進捗

 ――施工中の主要橋梁・トンネル概要(一覧は右表)を教えてください

 関 施工中の主要橋梁については、豊見城・名嘉地ICから(仮称)瀬長IC付近の約2km区間において、小禄道路・豊見城東道路で多くの橋梁工事を行っています。

 同区間は18橋の本線橋梁を跨ぐ連続高架構造であり、橋脚は全部で66基ありますが、そのうち58基が完成しています。また、本線橋梁は10橋が完成しています。残り8橋も工事発注が完了し、鋼桁の工場製作や橋脚の架設工事など同区間で約20件の関連工事が稼働中で、最盛期を迎えています。施工済み区間を含めて、鋼橋が約1.6km、PC橋が0.4kmを占めています。


小禄道路の進捗状況①


 次に北部の恩納バイパスでも橋梁工事が最盛期を迎えています。現在、2号橋、5号橋、6号橋で橋梁上部工を実施中です。4号橋、7号橋では下部工が施工中です。施工済み区間を含めて鋼橋が約0.3km、PC橋が約0.7kmとなっています。


恩納バイパス2号橋(PC橋の進捗状況)

恩納4号橋下部工の進捗状況

恩納7号橋の下部工の進捗状況

恩納5号橋上部工(鋼桁)の進捗状況

恩納バイパス6号橋上部工(PC桁)の進捗状況


 トンネル工事については、読谷道路で読谷トンネル(仮称)の函渠施工(延長281m)を実施しています。現在23ブロック中11ブロックが完成しており、鋭意、施工を進めています。施工方法としては函渠を現場打ちコンクリートで打設しています。


読谷トンネル(仮称)函渠施工状況

読谷道路では橋梁の下部工(5号橋)も進めている


 小禄道路の赤嶺トンネル(仮称)は、本体工事が完了し、現在、設備関連工事を推進しています。

 ――施工中の橋梁について他にも詳細を教えてください

 関 南風原バイパスの北丘高架橋はPC橋、与那原バイパスの与那原1号橋もPC橋で、いずれも上部工施工中です。北部管内の恩納バイパスでは2号橋が上部工施工中で3径間連続PCコンポ桁橋を採用しています。同バイパスでは4号橋が下部工を施工中です。


北丘高架橋の進捗状況


 また、最盛期の小禄道路では、小禄高架橋で上下部工を進めています。PC区間はP15~P19が橋長111m、鋼橋区間はP19~P24が334.5m、P24~P30が355m、P30~P36が267.5m、P36~P40 が228m、P40~45が293mで、いずれも鈑桁と箱桁を径間長などに従って使い分けています。A1~P15は施工を完了しています。


瀬長IC ON・OFFランプ橋の施工状況



小禄道路の進捗状況②


 なお、小禄高架橋は上下部とも本線部はすべて発注を完了しています。

――豊見城東道路では上部工施工中はありませんか

  豊見城東道路の上部工はおおむね完了しています。施工中は豊見城高架橋のP38~P42間の168m部分、P42~P45の186m部分で上部工及び床版工を施工中です。いずれも鋼非合成連続細幅箱桁を採用しています。


豊見城東道路の進捗状況(P42~P45)

豊見城高架橋の床版工施工状況


 ――新設における新技術・新材料の導入事例について教えてください

 関 沖縄総合事務局では、新設における目新しい新技術・新材料の採用はありませんが、施工品質の向上や作業時間短縮などの効率化が図れるNETIS登録技術(別表)の採用が多くなっています。(下表)


 例えば名護東道路や小禄道路では、超微粒子含浸性コンクリート養生材「サンマテラーアクアバンク」(OKK-160001-VE)を使用しています。

 また、建設業は就業者の高齢化や若手入職者の減少が顕在化しており、省人化対策も重要な課題となっています。小禄道路の施工現場では、従来複数名で行っていた作業を3次元データ活用により少人数で効率的に行うための省人化・省力化を図る取り組みも進められています(3Dテクノロジーを用いた計測技術および誘導システム『KT-170034-VE』)。


BIM/CIMモデルの活用事例①

確かな「モノ」創りで社会インフラの長寿命化に貢献する 全てのコンクリート構造物の調査・診断・補強・補修に関する総合エンジニア NETIS登録番号:CB-240020-A 

本土復帰から急ピッチで建設が進む

一番古い橋梁は軍政下で作られた港橋

 ――次に保全についてお聞きします。・まず現在の管内橋梁・トンネルの内訳は

  当局管内の橋梁は、本土復帰(1972年5月15日)から1975年開催の沖縄海洋博覧会にかけて急ピッチで建設が進み、特に1980年代には国道329号、330号、331号などの幹線道路が開通し、構造物が急激に増加しました。今後、これらの構造物が一斉に高齢化するため、集中的かつ、多額の修繕・架け替え費用がかかることが懸念されています。


管理路線概要図と路線別管理橋梁数


 管内の橋梁数は全部で432橋あり、橋種別はPC橋が179橋(40%、24,273m)、RC橋113橋(26%、3,499m)、鋼橋76橋(18%、13,500m)、混合橋28橋(6%、10,067m)、その他36橋(7%、3,046m)となっています。供用年次別は1950年代以前が1橋、51~60年が15橋、61~70年が2橋、71~80年が44橋、81~90年が64橋、91~2000年が87橋、01~10年が91橋、11~20年が58橋、21年以降が6橋となっています。


橋種別および構造形式別の橋梁割合


 一番古い所管橋は1950年に米軍施政下で軍道として建設された国道331号の南城市内にある港橋です。同橋は橋長8.3mのRC橋です。

 延長別は100m以下が295橋、101m~200mが50橋、201~300mが34橋、301~400mが14橋、401~500mが9橋、501~600mが8橋、601~700mが4橋、701~800mが6橋、801~900mが5橋、901~1,000mが2橋、1,001~1,100mが4橋、1101~1200mが1橋となっています。


 最長の橋梁は、国道331号の豊見城市内に架かる与根高架橋(上り線A1~P29)で橋長1186.5mのPC橋です。また径間長で最大は国道58号の牧港大橋(下りP4~A2)のP5~P6間の【混合桁部】で 支間長は190mに達します。

 路線別は国道58号が183橋、329号が103橋、330号が20橋、331号が72橋、332号が9橋、506号が45橋となっています。

 トンネルは全部で20本を管理しています。工法別はNATMが13、在来矢板工法が5、沈埋が2です。供用年次別は1971~80年が2本、81~90年が5本、91~2000年が3本、01~10年が3本、11~20年が6本、21年以降が1本です。


トンネルは全部で20本管理している


 延長別は100m以下が2本、101~200mが6本、301~400mが3本、501~600mが3本、1001~1100mが2本、1101~1200mが1本、1401~1500mが2本、1901~2000mが1本となっています。

 路線別は国道58号が11本、329号が2本、330号が4本、331号が1本、506号が2本となっています。

鋼橋の劣化 40橋ほどで見られる

PC 12橋で損傷 牧港大橋(下り線)でPC定着部にひび割れ

 ――点検を進めてみての管内各路線の劣化状況について教えてください

 関 鋼橋の劣化については、塩害による桁のエッジ部、ボルト連結部の腐食、塗装の劣化などの損傷が40橋ほどで見られます。



鋼橋の損傷状況


 床版損傷については、未除塩の海砂を使用したことによる塩害により、鉄筋の腐食によるコンクリートの浮きが5橋ほど見られますが、そのほかの橋梁ではおおむね健全です。


床版裏面の損傷状況


 橋脚についても未除塩の海砂を使用したことによる塩害が3橋ほどで見られます。

 伸縮装置では経年劣化による漏水が1~2割程度で見られます。また支承の損傷も1~3割程度で見られます。

 鋼桁のうち健全度Ⅲは3橋で、ほとんどが健全度Ⅱとなっています。

 ――鋼橋は塩害に晒されているにもかかわらず、意外と健全度Ⅲは少ないですね

  そうですね。沖縄総合事務局管内は予防保全段階に入ったとみていいと思います。今後も健全度Ⅲが出てきたらすぐさま修繕し、健全度Ⅱもケアしていければと考えています。

――PC、RC桁の劣化については

  塩害、ASR、かぶり不足などによる劣化要因が多数を占めます。損傷状況としては、桁のひび割れ、PC定着部のひび割れ、桁内漏水となっており、12橋で損傷が出ています。また、健全度Ⅲの橋梁が1橋あり、そのほかもほとんどが健全度Ⅱとなっています。


PC桁の塩害による剥離 / 同ひび割れ

PC桁のASRによる剥離 / PC鋼材の腐食、破断

ASRによる下部工の損傷状況


 橋全体(432橋)としては、一巡目と二巡目では、健全度ⅠからⅡは19橋(19/432)で4%、健全度ⅡからⅢは2橋(牧港高架橋(下り線、修繕済み)ととよみ大橋)で1%以下ですが劣化進行による遷移が見られました。健全度ⅠからⅡに遷移した橋梁は鋼橋が14橋と4分の3弱を占め、腐食環境の厳しい沖縄ならではの状況といえます。PC橋は2橋、RC橋は3橋ですが、これらも塩害による損傷が進行した結果と考えられます。

 ――一方で、PC定着部のひび割れというのはかなりシリアスに受け止めなくてはいけない損傷だと思いますが、具体的にはどこですか

 関 牧港大橋(下り) P4~A2 混合箱桁橋 鋼桁とPC桁接続部分の損傷となります。PC定着部のひび割れ(鋼桁とPC桁接続部分の損傷)の対策は、別途委員会による詳細調査を行っておりますが原因不明で、現在モニタリング中です。


牧港大橋の定着部ひび割れ状況

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