Interview

沖縄総合事務局 建設部局だけではない「ならでは」の施策を実施

2025.01.28

新バスターミナルの整備、総合的な防災対策

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耐震補強 沖縄総合事務局
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令和5年8月は合計700mmに及ぶ豪雨で大きな被害

港湾 中城と那覇港で事業が進む

クルーズ船の寄港回数もピークの約8割まで回復

 ――河川事業については

 山田 2024年度予算は事業費25.7億円で、ダム施設の維持管理や老朽化した施設の補修などを行っています。

 ――港湾はどうですか

 山田 港湾事業は、2024年度は138億円の予算となっています。

 RORO船や大型貨物船などに対応していかなくはなりません。新規事業としては、中城湾港新港地区の国際物流ターミナル整備事業を進めています。ただし、やはり中心は那覇港ですから、那覇港新港ふ頭地区ふ頭再編整備事業と両輪で進めています。


 さらに離島では宮古島市の平良港漲水地区で複合一貫輸送ターミナル改良事業を進めています。同じく、石垣島ではインバウント需要により国際クルーズ船の入港が頻繁ですので、それに対応すべく、旅客船ターミナルの整備事業を進めています。

――宮古島、伊良部島、下地島などを包含する宮古島市はもともと観光的なポテンシャルを持っていましたが、伊良部大橋の完成供用を契機として、それが一気に花開いた感があります。

 山田 そうですね。平良港(旧平良市)はクルーズ船の寄港回数がコロナ前の2019年ですが、実に147回に及びます。那覇は260回と日本一で、次いでもともと観光で有名な石垣港は148回と平良港とほぼ同数となっています。その後、新型コロナの影響で大きく落ち込みましたが、2024年は沖縄県全体で約460回に達し、ピークの2019年の8割程度まで回復を果たしています。今後もクルーズ船が寄港しやすいような対策はしっかりと行わなくてはなりません。

 また、各種整備工事については、単に事業を進めるだけではなく、例えば沖縄市潮乃森で開催される「ビーチフェスタ」へ事業協力者として参加しています。

 ――ビーチフェスタではどのような協力を行っているのですか

 山田 フェスタ期間中の一カ月の間の8日間だけ、砂浜を開放するなどの取り組みです。これは毎夏やっています。先ほどダムを管理していることにも触れましたが、各ダムにおいては自治体の地域振興の一環で「ダムまつり」をこれも毎年開催し、自治体の「村おこし」と連携しています。

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令和5年8月は合計700mmに及ぶ豪雨で大きな被害

今年度中には沖縄県の全市町村と協議して無電柱化の計画を策定

 ――近年水害や台風などにより道路や河川も大きな被害を受けることが増えています。道路や河川の損壊を防ぐためにどのような予防保全的対策を施しているのでしょうか
 山田 沖縄はこれまで河川の水害はそれほど深刻になっていません。というのも、沖縄県の河川の特徴として、築堤構造はほとんどなく、専ら掘り込み式の河道となっており、洪水による溢水は長期化することなく、比較的早期に解消するためです。

 風水害に対する予防保全的対策としては、一昨年8月の台風6号接近に伴い、県内各地で1週間に及ぶ停電被害が発生しました。同台風は進路が通常と違い、沖縄本島に同じ台風が2回襲来し、沖縄本島やそのほかの離島に大きな被害を齎しました。降雨量は合計700mmに及びました。


台風6号の特徴と被害状況


 そのため、沖縄県内の関係行政機関・民間団体で構成する沖縄防災連絡会において停電対策WGを設置しました。沖縄総合事務局の特長は道路・河川・港湾さらに(他整備局にはない)経済産業省系のメンバーが同じ組織に属しており、集めやすい点です。あとはこのメンバーに沖縄電力さんを加えるだけですので、すぐにWGを組織することができました。

 この教訓から同WGでは脆弱性評価を行うと共に、燃料供給体制の強化や電線付近の樹木の伐採、電線地中化の推進等、様々な予防保全対策について検討を行っています。

 今年度中には沖縄県の全市町村と協議して無電柱化の計画を策定できるところまで進んでいます。

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法面・自然斜面 防災点検箇所320箇所を年1回の頻度で点検

予防保全として滑り対策や落石対策を実施

 ――道路について、ハードウェア的な対策をもう少し教えてください

 山田 法面や自然斜面の予防保全については、点検を行い、早期に変状を把握することが重要と考え、防災点検箇所(320箇所が該当)を年に1回の頻度で点検を実施しています。

 点検方法は、目視、法枠・擁壁などのひび割れ測定、地滑りなどの定点観測により行っています。予防保全の対策としては、抑止杭、法枠などの滑り対策、水路、側溝の整備による洗堀対策、落石防護柵などの落石対策を実施しています。
また、豪雨などが生じた場合は、防災点検業務で巡回し、変状が予想される箇所を重点的に目視点検しています。


防災・盛土対策


 

 ――同様に港湾については

 山田 離島港湾の管理主体は県です。県が社会資本整備総合交付金や防災・安全交付金、沖縄振興公共投資交付金を使って、離島の10港湾について岸壁や防波堤などの整備を進めています。

 ――河川関連については各整備局で流域治水プロジェクトが立てられていますね

 山田 沖縄総合事務局は直轄河川を管理していないものの、近年の気候変動を踏まえて、沖縄県や関係機関により各河川の「流域治水プロジェクト」を策定し、ハード・ソフト一体となった事前防災対策を推進しています。河川管理者である沖縄県が主体となる河川改修による治水対策に加えて、流域全体の治水対策を2020年度から沖縄県下水道課も参画し、15水系で実施しています。

 ――孤立集落などの対策については

 山田 孤立対策などに関連する他地域からの救援物資などの受入窓口の強化を図っています。

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沖縄本島南東沖地震3連動で想定される津波による最大水位は約28m

沖縄県の電力供給施設の6割、下水施設の9割などが浸水エリアにある

 ――沖縄総合事務局管内における耐震対策のハード・ソフト両面の進捗状況を教えてください

 山田 東日本大震災においては、櫛の歯作戦により、救援物資や道路啓開を効果的に行うことができました。またその後、三陸沿岸道路の延伸や横断道の整備も行い、さらに国土を強靭にする道路整備を進められました。それを踏まえて、沖縄における大規模地震や津波対策としては、沖縄県内の関係行政機関・民間団体などで構成する沖縄防災連絡会において、想定される最大規模の地震・津波被害(沖縄本島南東沖地震3連動)を想定した検討を行っています。

 ――想定される最大水位は

 山田 沖縄県津波被害想定では国頭村安田で約28mに達すると言われています。

 そうした津波が生じた場合、最重要港湾である那覇港で航路を啓開するには5~10日程度要することが想定されています。つまり被災してから10日程度は物資が届かないことが想定されます。また主要国道および県道は専ら沿岸部にありますから主要道路も大きな損害を受けていることは確実です。さらに沖縄県の電力供給施設の6割、下水施設の9割などが浸水エリアにあるため、津波が来ると復旧までに時間がかかることを想定しています。

 そのため、食料や発電用の燃料など、救援物資が来るまでの備蓄をしっかりと用意しておく必要があります。もう一つは、ヘリなどを用いた情報収集。さらに道路啓開の早期実施です。ここで信頼性の高い道路は、沖縄の山間部を縦断し想定される津波被害の影響を受けない沖縄自動車道です。道路啓開は、まずは沖縄自動車道につなげていくので、現在沖縄自動車道に啓開路線としてつながる直轄国道で耐震対策が必要な橋梁は236橋、そのうち9割は対策を実施済みですが、残り13橋の対策も早期に行っていきます。とりわけ、沖縄自動車道と県庁を結ぶ那覇空港自動車道の南風原高架橋(RC連続アーチ部、南風原町大名)の耐震補強を優先して実施していきます。

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