Interview

沖縄県 県道20号線(泡瀬工区)アクセス橋梁が来年度上部工閉合へ

2025.10.31

那覇大橋、大保大橋、浦内橋の3長大橋を架替えへ

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>砂川 勇二氏

沖縄県
土木建築部長

砂川 勇二

 沖縄県は、中城湾港泡瀬地区において長大PC橋の建設を進めている。同橋は伊良部大橋の知見を活かし、PC橋の損傷を防止し、耐久性向上を図るため、被覆PC鋼材、エポキシ樹脂塗装鉄筋、フライアッシュコンクリートを採用して工事を進めている。また、那覇大橋、大保大橋、浦内橋などの長大橋の架替えなども進めている他、塩害やASRによる損傷した橋梁の対策、耐震補強などについて砂川勇二土木建築部長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

県道9号線大保大橋下部工工事(R5-3) 沖縄地区における橋梁およびインフラ施設の維持管理の計画・点検調査・診断および補修。補強の検討は、実績と信頼の高いホープ設計へご依頼ください。 線状陽極方式 電気防食 PI-Slit工法

技術者冥利を味わった伊良部大橋の建設事業

平安座海中大橋は地域のシンボルに

 ――砂川さんとお会いしたのは、伊良部大橋建設事務所の主任技師をされていた時のことと思います。今までの土木人生の振り返りと、土木建築部長としての心構えを教えてください

 砂川土木建築部長 1992年に沖縄県に入庁後、30年以上土木一筋で歩んできました。多くの事業の中でやはり心に一番残っているのは、伊良部大橋の建設です。3,540mの橋長を誇る橋を含めた4km以上の工区をトータルで7年ぐらい関わらせていただきました。完成して渡り初めをした時に、伊良部島、宮古島の皆さんから「ありがとう!」、と手を振られたことは、本当に土木技術者冥利で、とても感動しました。



伊良部大橋(上:沖縄県提供(以下注釈なきは同)、下:井手迫瑞樹撮影)


 また平安座海中大橋(PC2径間連続斜張橋+PC2径間連続箱桁橋)にも携わりました。同橋は今でも県内に1つしかないPC斜張橋です。同橋は今やすっかり地域のシンボル的な構造物になっており、映画『366日』にも登場しています。とても地域に貢献していると思います。本当にやりがいのある仕事です。


平安座海中大橋(上:沖縄県提供、下:井手迫瑞樹撮影)


 土木建築部の所管する業務は、社会・都市基盤の計画・整備・維持管理から許認可業務など非常に幅が広く、700人を超える職員が業務に携わっています。情報の共有、意思疎通が重要であると考えており、和を大切にしながら職員の意見を聞き、共に同じ目的に向かって、粘り強く進んでいきたいと考えています。

 地域の課題は多岐にわたります。誰もが特に意識することなく日常生活で利用している社会基盤ですが、県民の社会・経済活動を下支えしている基本的で欠かすことのできない重要なものでもあります。土木建築部の仕事は、非常に大きな役割を担っており、誇りをもって職員とともに取り組み、沖縄県の発展に寄与したいと考えています。

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渋滞対策として沖縄本島南北・東西を結ぶハシゴ道路ネットワークの整備が必要

 ――管内の地勢的特徴と道路の整備方針および構造物の整備の考え方について

 砂川 沖縄県は、国内で唯一の亜熱帯海洋性気候地域であり、年間を通じて高温・多湿な気候であり、島しょ地域で海に囲まれていることに加え、台風常襲地帯であることから、飛来塩分が多く、他県に比べて厳しい塩害環境にあると言えます。

 陸上交通のほとんどを道路に依存しており、平成15(2003)年の沖縄都市モノレールの開業により、那覇市域で新たな公共交通手段に選択が可能となったものの、道路は依然として県民の暮らしと産業活動を支えるうえで重要な役割を果たしています。

 しかしながら、依然として続く自動車保有台数の伸びや市街地拡大により都市部の交通渋滞は著しく、都市機能・産業経済活動への支障や生活環境の悪化を招いています。また、離島・過疎地域では、若年層の流出に伴う人口減少や高齢化による集落機能の低下が続いています。このため、都市部の交通円滑化や地域連携を強化する骨格道路網の形成や、離島・過疎地域の住環境や利便性の向上を図る道路の整備に取り組んでいるところです。

 具体的には、沖縄21世紀ビジョンの重要課題として位置付けられた交通体系の整備を図るため、那覇空港・那覇港などの広域交通拠点と各圏域拠点を有機的に結ぶ直轄事業の那覇空港自動車道、沖縄西海岸道路、県事業の南部東道路、浦添西原線、幸地インター線等の南北・東西を結ぶ体系的な幹線道路網のハシゴ道路ネットワーク構築に取り組むと共に、那覇都市圏の交通の円滑化を図る2環状7放射道路などの整備や主要渋滞箇所における渋滞ボトルネック対策を推進しています。また普天間飛行場返還を見据えた道路整備も進めていく必要があります。


広域道路ネットワークの基本方針 / 2環状7放射路(いずれも沖縄県公開資料より抜粋)


 さらに、離島・過疎地域の定住条件の改善を図り、自律的な地域づくりを支援すべく、地域特性に配慮した道路整備を推進しています。

 安全で快適なゆとりある道路空間を創出するため、交通安全対策の推進、歩道の設置や必要幅員の確保、無電柱化に取り組むと共に、生活基盤の機能維持、強化を図る橋梁等の耐震・長寿命化対策を推進しています。

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南部東道路、幸地インター線、石垣空港線を整備

県道20号線(泡瀬工区)アクセス橋梁は上部工が終盤に差し掛かる

 ――進捗中の事業路線の目的と概要、現況を教えてください

 砂川 現在、整備を進めている道路事業としては、南部東道路(南風原知念線)、幸地インター線、石垣空港線などがあります。

南部東道路 佐敷・玉城IC橋建設状況


 南部東道路は、南風原町字喜屋武~南城玉城字垣花までの区間7.4kmについて、高規格道路として整備に取り組んでいます。2024年度末における事業費ベースの進捗率は約58%となっており、これまでに南城大城IC~南城佐敷・玉城ICまでの約2km区間を暫定2車線で供用しています。

 幸地インター線は、県道浦添西原線(西原町字翁長)と沖縄自動車道(西原町字幸地)を結節させる延長約0.8kmの道路です。2024年度末における事業費ベースの進捗率は、約77%となっています。


(一)幸地インター線


 石垣空港線は、石垣市字盛山(石垣空港前交差点)~石垣市字平得(国道390号平得交差点)までの区間約8.9kmについて整備に取り組んでおります。2024年度末における事業費ベースの進捗率は、約64%となっており、これまでに石垣市役所側の約1.8kmと石垣空港側の約3.5kmを暫定供用しています。


石垣空港線(沖縄県公開資料より抜粋)


 また、沖縄市の泡瀬地区では、開発事業として、沖縄本島中部東海岸地域の活性化を図るため、スポーツを中心とした商業や宿泊、海洋レジャーなどを展開するスポーツコンベンション拠点の形成を図る人工島の整備を進めています。そのためのアクセス道路として、県道20号線(泡瀬工区)の橋梁整備を行っています。

 同工区は中城港湾泡瀬地区地先~沖縄市比屋根までとなっています。2014年に工事着手し、20年に下部工が完了、23年に北側上部工工事が完了し、24年度から同橋面工と南側の上部工施工を実施しています。24年度末の事業費ベースの進捗率は約84%となっています。

 26年度には全上部工がつながる予定です。


泡瀬工区の桁架設状況

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