静岡県 南北交通と伊豆半島の道路整備が課題
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盛土対策 第一弾としては伊豆半島で迅速に着手
斜面・法面の土砂災害対策 事前通行規制区間を優先的に実施
盛土対策 第一弾としては伊豆半島で迅速に着手
――全国的に異常気象などによる土砂災害が相次いでいますが、県として道路に面する斜面や、古い法面などをどのように補強・補修して道路を守っていくのか具体的な事例や計画などがございましたら教えてください
森本 法面については、平成8年道路防災総点検要領に基づき、落石・崩壊、土石流、雪崩等の豪雨・豪雪に起因する災害の危険性のある箇所について、定期的に点検を実施し、要対策と判断された箇所について計画的に防災事業を進めています。要対策箇所は、県内で1,145箇所あり、このうち、緊急輸送路上(386箇所)の事前通行規制区間内にある要対策箇所(187箇所)の対策を優先的に実施しています。現在は386箇所内240箇所(事前通行規制区間は147箇所)が完了しています。
――能登半島で大きな損傷を受けた盛土の点検対策については
森本 特定道路土工点検として、切土高15m、盛土高10m以上の箇所の点検を行うことになっています。県では能登半島地震を受けて、高盛土の集水地形が大きな損傷を受けたことから、そうした箇所の点検を優先的に実施しています。特に能登半島と同じような地形を有する伊豆半島については、緊急輸送道路を中心に今年から高盛土の点検を実施しています。
――能登半島では、道路土工について最大乾燥密度を95%に引き上げた基準(土木工事施工管理基準及び規格値(案)平成25年3月)で補強したものは一切被害を被っていません。損傷した盛土は悉くそれ以前の基準で作られたものでした
森本 仰る通り、県が建設している盛土の大半は、基準前に作られたものがほとんどです。もちろん、斜面が崩壊したり、湧水が生じているところは対策している箇所もありますが、ほとんどは設計した当時のままの状況です。そのため今回の点検で斜面の状態を調べているます。調査した結果、対策が必要な箇所については、工事を進めていきます。
――とりわけ、伊豆半島については能登半島と同様の懸念があります
森本 第一弾として伊豆半島で迅速に着手していきます。
橋梁の耐用年数を120年に設定
静岡どぼくらぶの取組みを推進
――橋梁の架替や大規模修繕、トンネルの点検状況、トンネルやのり面について橋梁のような長寿命化修繕計画を企図した補修補強計画の進捗状況を教えてください
森本 平成22年度から平成28年度までの7年間で、管理上重要な橋梁のうち、特に劣化の著しい107橋の緊急対策を実施し、各橋梁の健全性を予防保全段階以上の水準に引き上げました。なお107橋のうち、5橋は架け替えを行っています。
県では、橋梁の耐用年数を120年と設定し、長寿命化に取り組んでいます。今年8月に架設後100年を迎えた県道富士由比線の富士川橋は、現在も人や物の流れを支え続けており、これまでの長寿命化の取組の顕著な成果であるといえます。
道路法面では、 斜面施設の長寿命化計画としては、「斜面施設ガイドライン」に基づき「予防保全管理(状態監視型)」の維持管理を実施しています。斜面施設の状態を点検等によって把握し、施設健全度結果の施設健全度に基づき維持管理を実施するものです。
対象施設は緊急輸送路上にある直高30m以上の吹付法面箇所(40箇所)で現在、箇所を要対策箇所としており、対策工を実施中又は実施予定です。
――付言して
森本 県独自の取り組みとして、建設産業の活性化や理解促進、担い手確保に向けて、「静岡どぼくらぶ」という取組を行っています。どぼくらぶは、静岡県の未来を共に考え、土木現場でつながる広いサークルであり、県の土木職員はもちろん、土木関連の先生、民間各社の技術者など、資格は特に設けておらず、建設業を盛り上げていただける方々ならだれでも歓迎しています。具体的な取組としては、小中学校の子供たちや学生向けに静岡どぼくらぶ講座や見学会などのイベントの開催、ホームページやSNSでの情報発信、図画コンクールの開催などにより、土木・建築に興味を持ってもらおうと考えています(実施例は右画像(静岡県HP画像より抜粋))。
――ありがとうございました